31日目 ページ43
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暗闇の中、鈴虫かなんかの鳴き声がする。
かと言って風情があるだとかなんだとか言う気はサラサラ無く、いつぶりか分からないが四肢を思い切り伸ばしてはゴロリと寝返りを1つ。
抗ってみても結果は変わらず、むしろお手上げ。
眠気は一向に訪れず、秒針が時を刻む音がやけに響く。
寝れない。
ただ寝れないならまだ良い。
1番たちが悪いのは”足りなくて寝れない“こと。
こればっかはどうしようもない。なんせ足りない、つまるところ手元に無いのだから手の打ちようがない。
現状がそれだった。
求めるものは遠い彼方、共通してるのはこの空の下に居るって事位だろうか。
電話したら出てくれるだろうか。
それともメッセージか
…いや、どの道この時間帯なら寝ているか。
仕事で疲れているだろうから寝かせてあげたい、でも声は聞きたい。
矛盾する気持ちがふつふつ沸いてくる。
視界の端に映る科学技術の結晶に手を伸ばすか思案して、考えて、考え抜いて__
そしてやめた。
眠っていたら起こすのは申し訳ない。
起きていて、声を聞けたらきっと顔を見たくなる。
次は触れたくなる。その次は抱きしめたくなる。
きっと、きっとそれ以上を望んでどうしようもなくなる。
きっとこれが愛に囚われた人間の通る道に違いないのだと図らずも同じ時に息を吐いた。
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