賢プロ所属の谷山夫婦 3 【谷山紀章】 (ページ35)

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30日目ページ35

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ただただ間が悪かった。

月一が近いのか妙に治安の悪い肌に
自覚のいくイラつきやすさも

祖母からの心配という名目でかけられた新婚生活の探り入れとひ孫催促の電話も

不躾に寄越される視線も声を潜めた会話も。

なんてことはない積み重ね。
いつもなら多少ヘコんでも『ま、そんなこともあるさ』と言えてただろうけど。

今はちょっと余裕が無い。それだけ。
ちょっと敏感になってて、気が滅入ることが目に入って立て続けに起こってるように見えるだけ。

全部全部ただただ間が悪かった、本当に。

｢紀章くん！｣

名前を呼ぼうと開いた口は、発した音は高い声に阻まれた。
隣を女性が駆けていった。

肩くらいの茶髪の似合うとても綺麗なお姉さんが。
私とは違って小さくて、女性らしい体つきで通り過ぎたらふわりと良い匂いが漂う、そんな女性が。

堂々としてりゃ良いのにさ。
反射的に隠れちゃそりゃ気付かれる訳も無い。

嬉しそうに弾む女性の声と、それに答える落ち着く大好きな声とのやり取りがひどく不快で面白くなくて

そんなこと考えてる自分が1番醜くて。

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『……くそったれが』