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黒いモヤ、が見える。
見慣れた廊下、壁、天井、そして外へと続く扉。
全て見覚えがある、その中で異質で背中がそっと冷えるような違和感を覚えさせるのがその黒いモヤだった。
外へは行かせない。そう告げるように黒いモヤは人の形を成して、扉の前に立ち塞いでいる。
黒いモヤが口を開く。
全体がはっきりとしないクセにモヤの中に現れた口は妙にリアルで……勘弁してほしい。
なんだそのホラーゲーム的なビジュ。きっも。
「___!__________!!」
『…っ』
宙に浮いた口が、何かを発する。
声と言うにはノイズ混じりで不明瞭で…
不協和音、そう言った方がピッタリくる。
つんざくような、地を這うような形容しがたい音は
無遠慮に鼓膜を震わせてくる。不愉快さに自然と顔が歪むのが分かった。
「_____?」
一歩、距離を詰めてくるモヤ。
此方も同じように一歩後退る。
妙にリアルな口は今の今まで口角を上げて薄ら笑っていたのに、ストンと表情が抜け落ちたように真一文字に唇を結んだ。
…あーやべ。下手こいたかもしれん。
「___?」
「_________?」
「_________。___?____?_____」
『…っ』
脳内に響くような不協和音。頭に響いて仕方が無い。
じわりと頭に広がる痛み。頭を抑える此方のことなんて
向こうは待っちゃくれずに、一歩また踏み出してきた。
「___________?」
あ、これ。
「…__、_____。
__」
「___。____。
______。」
ぐんっと距離をつめてくる。
黒いモヤの中で妙に明瞭な口がぱくぱく動いては何かを発してる。
キラリ、と突如姿を現した冷たく鋭い輝きを湛えたソレ、は
吸い込まれるように腹部へと________
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ガタン
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