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お義母さん達のご厚意に甘えて午前中はゆったりと緩やかな時間を過ごした。
そんな午前が遠い昔のように午後からは親戚の方々が波のように押し寄せてきた。どうやら年内最後の挨拶に、とのことらしい、
…が、の割にえらく見られてから決まって
「紀章の嫁さん」と言われるのだから、どこの田舎でも情報網てやつは侮れない。
あっという間に見知らぬ人達に囲まれて私の苦手な状況に…まぁそこまではいい。けど、そんな状況から庇ってくれてた紀章さんが例の如く、「漏れる。」と一言残してトイレへ。
なんてことしてくれてんでしょう。
そして今だとばかりに「紀章のどこが好き?」だとか「結婚式はどうするの」だとかの矢継ぎ早に投げ掛けられる質問。情け容赦がなさ過ぎる。
「えっ待って」
じわりじわりと距離をつめられ、じりじりと後ろへと距離を取る。そんな緊張感に溢れた静かな状況で、咄嗟に出たと思われる可愛らしい声は良く通って。
私を含めたその場の全員がその声の主の方へと向く。が、それを一向に気にも留める様子はなく、まだ少しだけ幼さな残る顔立ちの女の子が立ち尽くしていた。
「めっっちゃイケメン」
その言葉に今度は私に視線が集まる。
試しに後ろを振り返ってみるもどちらさんも見てるのは私の様子。
…もしやお嬢さん、貴方の言うイケメンとやらはもしかして
『…わたし?』
そうして、近付いてきたその子は「ちょっとごめんなさーい」と親戚の方々の合間を縫うようにして私の隣へと腰をすとんと下ろして私を見上げてニコリと花の咲いたような笑顔を浮かべるのであった。
それから、ちょっと冷静になったらしい彼らから「困らしてごめんね」と謝罪を受けて、それぞれ思い思いのところへと足を運んでいく。その背中(?)を見送ってから真横に座ったその子に視線を向ければイタズラっぽく可愛らしく口角を上げて一言。
「困ってたみたいだから♡」
……恐ろしいな谷山家。
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愛夢(プロフ) - 紀章さん好きには堪らない作品ありがとうございます!!更新頑張ってください! (2023年2月6日 18時) (レス) id: 1fb4caaf97 (このIDを非表示/違反報告)
最小幹部 - Yuiさん» Yuiさん、返信大変遅くなってしまい申し訳ありません。コメントありがとうございます!マイペースに更新しているのでまた覗いて頂ければ幸いです(*^^*) (2022年2月6日 20時) (レス) id: 1b7127d9e3 (このIDを非表示/違反報告)
Yui(プロフ) - 紀章さんファンなんで小説を作成してくれてすごい嬉しいです!続きを楽しみにしてます! (2022年1月16日 13時) (レス) @page5 id: 3c14c8fbd4 (このIDを非表示/違反報告)
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