賢プロ所属の谷山夫婦【谷山紀章】

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【Kishou‐side】





”｢声優柏村司さんが復帰とともに＿｣”



チーズとハムをたっぷり乗せて、とろとろカリカリとなるまで焼いたトースト、安価だけど充分過ぎる程に美味いそれに舌鼓を打ってる最中に画面越しに邪魔してくるのはニュースキャスター。
近くにあったリモコンを手に取ると同時に電源のボタンをいっそ壊してやれ位の心持ちで押す。


プツリと音を立てて暗転する画面、咄嗟に手に取ったことにより油と粉に塗れたリモコンをティッシュで拭いていれば、苦笑を溢す司ちゃんが目に入る。


｢ごめん、見てた？つける？｣

『いや、別に良いですよ。
ただ、私が取り上げられるの嫌ってんなーって』


昨日もネットニュースすっっごい顔してましたよ、ケラケラ笑う司ちゃん


｢今まで見向きもしなかったのに
…ストーカーの一件をツイートと結びつけて”ファン思い”だのなんだの好き勝手謳っといて
意識が戻ったってのは露ほども報道しなかったのがこう…気にくわないの、俺。｣


演技を見るわけでも無く、彼女自身を見るのでもなく
司ちゃんに降りかかった禍福だけを見てる。それが仕事だと理解はしていても、受け容れられるかはまた別ベクトルの話だ。

少なくとも俺にとっては。


｢…なーにニヤついてるの｣

『いやー？嫁大好きなんだなーって??
思っただけですケド？？？』

｢大好きどころじゃなくて愛してんの
そこのところご理解と自覚お願いしまーす｣

『それならニュースにキレるより
嫁ともっとお喋りして下さーい』







‐





｢なんか珈琲甘くない？司ちゃんお砂糖何杯入れた？｣


『残念、無糖です。新婚パワーでは？』

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