恋したネッ友はうちの脳でした (ページ3)

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～研磨side～

ヒグラシの鳴き声と涼しげな風が窓から流れ込んでくる。

今日と明日は体育館の点検で部活が休み。

このHRが終われば、家に帰れる。
嬉しい。早く帰ってゲームしたい。
先生の話し長くない？まだかな。

「じゃあ……孤爪頼むぞ。」

「え、なに……………なんですか。」

いきなり先生に呼ばれて驚く。
聞いてなかった。頼むってなに。

「聞いてなかったのか？ほら、再来週から修学旅行だろ。虚にプリントとか届けてやって。修学旅行関係のは渡しとかねーと。」

うつせ？あぁ、不登校の。
俺の隣の席は空席。本来その席に座るはずの人物、虚 A。実際に見たことはない。つまり、一度も来ていない。
虚ってかなり珍しい名字だと思う。なんか厨二っぽくて、“カッコいい”。

「はい、家の地図とプリントな。」

今日はバレー部ないだろ～！

などと言われプリントと家までの地図を渡された。
そんな簡単に個人情報渡して良いの？というかプリントが多すぎる。この量じゃ、郵便受けに入れておくというのは無理そうだ。

「面倒くさい………」

ボソッと呟いた俺の声は、先程よりも騒がしくなったヒグラシの鳴き声に掻き消されて消えた。

　
　
　
　
　
　
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「大森…………？」

築何年なんだろうか…………
中々古そうだけど大きめな一軒家。

家の位置と、地図に書いてある場所は同じ。だが、表札の名前と俺が予想していた名前が違う。

そこにかかっている表札には、“虚”ではなく、大森。全く別の苗字だった。