檸檬ノ香リ ページ4
敦君と谷崎兄妹が賢治君を探しに、包帯さんと国木田さんが社長会議に向かう事になった。
『ちょっとトイレに行ってくるわ。』
「分かった。終わったらお前も社長室に来い。
今、社に居るメンバーで会議を行う。」
『了解。』
鍵をかけた女子トイレの個室で、携帯電話を素早く操作する。
文面を確認し、メールを送信した。
『これでOK…と。』
数分後、見慣れた薄青色のサークルの壁が私の目の前に見えて───
次の瞬間には、どこかの路地裏の前に立っていた。
「──おい千咲屋、俺も暇じゃねぇんだぞ。メール1通で厄介な仕事を頼んでくるな。」
『毎回そうやって言いつつ、私の我儘に付き合ってくれて助かってるわ、トラ男君。』
「俺はお前に借りがあるからな。
それに俺も1度会ってみたかった──この街の裏の支配者に。」
『居場所は分かったの?』
「ああ、この路地裏の奥だ。行くぞ。」
スタスタ歩いて行くトラ男君の後に続き、路地裏の奥に進むにつれ、風に乗って濃い血の匂いが流れてくる。
『…バラバラ死体じゃないと良いわね。』
「おい、やめろ。」
吐きそうな顔をするトラ男君に、ちょっと笑いが込み上げた。
『フフッ、凄い顔。そういえば貴方、異能力で人を刻むのは良いのにバラバラ死体は嫌いだったわね。』
「…バラバラは後処理が面倒なんだよ。」
『良く言うわ。』
黒いマンホールに、履いていたヒールが音をたてた。カツーン…と、思ったより音が響いた。
その瞬間、いきなり大量の銃弾が飛んできた。
『!』
「チッ、」
地に伏せて、飛んできた弾を避ける。次に飛んできた大量の
…白い光と赤い炎が、視界を染めた。次に轟音。
『あの檸檬、爆弾だったのね。』
「檸檬型爆弾なんて見た事もねぇ…異能か?」
煙混じりの爆風が髪を揺らす中、ついに路地裏の1番奥へと辿り着いた。
死屍累々。黒服とサングラスが折り重なって倒れている様子は、1種のアートのようだ。
『あら、予想以上。』
檸檬爆弾の威力に驚いていた時、低い声が鼓膜を揺さぶった。
「───君は確か、白花…千咲君だったね?」
この威厳、洗練された殺気。
間違いない。
ポートマフィア
『お会いできて光栄だわ、森さん。』
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作者名:ミカン酢 | 作成日時:2022年10月22日 16時