スマイル攻防戦 ページ3
社長がフィッツジェラルドさんの“商談”に断る、と返答し、尚も言い募る彼に言い放った。
「命が金で購えぬように、許可証と替え得る物など存在せぬ。あれは社の魂だ。
特務化の期待、許可発行に尽力して頂いた夏目先生の想いが込められている。
──頭に札束の詰まった成金が、易々と触れていい代物ではない。」
『お帰り願えるかしら？』
私も、良い笑顔で言ってやった。
「金で買えない物が有る、か。…貧乏人の決め台詞だな。
まあ、社員が全員消えてしまっては会社は成り立たない。そうなってから意見を変えても遅いぞ。
それと、ミス・チザキ。さきほどの答えをまだ聞いていなかったな。」
『聞かなきゃ分からない？』
「君の返答次第で、こちらからの対応を変えてやっても良い、と言ってもか？」
『…』
私がここで貴方に着いていけば、探偵社へ攻撃せずにいてくれる、と？脅迫まがいの勧誘ね。
私は立ち上がり、フィッツジェラルドさんを見下ろしながら、笑顔を崩さずに言った。
『それを私が信じるとでも？』
「！」
『貴方のような人は、自分が欲しい物を1つでも諦めない。私を手に入れた後で、探偵社も、異能開業許可証も、それを元に例の�猖椨瓩癲珍瓦討髻⊆蠅貌�れるつもりなんでしょう？』
「実に興味深い。ますます俺の部下にしたくなった…！」
目の前でニヤリと笑う男。こういう男はすぐに手を出してこない。冷静に、冷酷に、綿密な計画を立て、確実に欲しい物を手に入れる。
「これだけ言っておこう。
明日の朝刊にメッセージを載せる。
よく見ておけ
俺は欲しい物は必ず手に入れる。」
ソファーから立ち上がったフィッツジェラルドさんに、付き添いの2人が続く。
どうやら賢治君が見送りをするらしい。
少し、いやかなり心配だったが、賢治君も戦闘系異能者。そんな簡単にはやられないだろう、と思い、手を振って送り出してしまった。
───賢治君は帰って来なかった。
次の日の朝刊は、ポートマフィアのフロント企業が属していた7階建てのビルの消滅を報じた。
“逆らう探偵社も、用済みのマフィアも、全て消す”
という、
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作者名：ミカン酢 | 作成日時：2022年10月22日 16時
