ブラック本丸？いいえ、ブラックなのは審神者の方です (ページ22)

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ブラック審神者が二十一人ページ22

一度失った居場所は
もうもとには戻らない。

僕はまだわからなかったんだ。
剣道部に戻れたことが嬉しすぎたんだ、きっと。
今の僕ならば
剣道部に戻ることはしなかっただろうに…

剣道を再開してしばらくたったとき、
僕はだんだんと自分が強くなるのを感じていた。
周りの仲間とは
天と地ほどの力の差があることはわかっていたが、
それでも少しでも皆の力になれると思っていた。
嬉しかったんだ。
本当に嬉しかった。
もう皆の足を引っ張るだけじゃなくなった。
そう思えるだけで、どれほど喜んだことか…

けれど、やっぱり半年のブランクは大きかった。
皆には追いつけない。
それは僕だけじゃなく、仲間にもわかっていた。
徐々に仲間と僕の間にはミゾが出来てきた。
そのミゾは深く大きくなっていった。

僕はある時知ったんだ。
第三者からの僕の見られ方を。
「使い捨ての駒」
……僕は剣道部の「使い捨ての駒」？
これを知った時は流石にこたえたね。
まぁ、あくまでも第三者…部員以外からの見解。
そこまで僕と部員の間には
大きな格差が見られたっていうこと。
それくらい僕もわかっていたけどね。
皆は強い、僕は弱い。
弱い者は強い者には勝てないのだから。
誰になにを思われようが
僕は剣道が大好きだから辞めたくはなかった。
その想いがどれほど僕を苦しめたことか…

仲間だと思っていた皆の目が、
怖いと思い始めたのはいつだっただろうか？
あぁ、もう忘れてしまったよ。
…気づけば皆が怖かった。
今でもあの目を思い出しては震えてるよ。
怖い、怖い…とね。

結局のところ、
僕は剣道部に戻ってこない方が良かったんだ。