ヒスイカズラ ページ40
やりたいことがやれるって幸せだ。
あの大学受験から１０年経った今、無事カウンセラーになった私は、仕事をしていてそう思う。
高校生の日々の事は、今まで生きてきた中で一番色濃く染みついている。時々、思い出してはふふっと笑う。
「葛さーん、次の方来たわ。葛さんに聞いて欲しいんだって」
「はーい」
相談に来る人々の中で、私と話をしたい、と言って来てくれる人がいる。その人々のためにも、私は今日も働く。
それが今の生きがいだ。
私は、カウンセリングルームのドアノブに手をかけた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「こんにちはー」
「おう」
まずは柔らかく聞こえるように挨拶をして、椅子に腰かける。
来た人は、パーカーのフードをかぶった長い髪の男性で、鼻筋の通った整った顔立ちをしていた。心なしか、彼の肌が赤く見える。
「カウンセラーの葛 Aです。来てくれてありがとうございます」
「……非天だ」
あまり聞かない名前だなぁ、とは思ったけど、なぜか彼とは初対面の気がしない。不思議だ。
「それでは」
「昔、いや、今も好きなやつがいるんだよ」
話を切り出そうとしたのに、遮られた。話してくれるなら聞こうと思い口角をあげた笑顔を見せる。
「そいつさ、夢があるっつって居なくなったんだよな。元々、一緒になれる望みは無かったけどよぉ……
なんか、それからしばらくはむなしかった」
その人は、足を机の上に乗せ、だらしなく上を向く。ああ、懐かしさを感じるのはもしかして。
「非天さんは恋をされてたんですね。何だか、好きな人と離れてむなしいって気持ちわかります」
「……お前さんも好きなやつ、いたのか？」
非天は足を机にのせるのをやめ、普通に座り直した。
真剣な眼差し、そうなると顎をさわるクセ。ああ、私は知っている。
「いますよ、高校生の頃から。とても馬鹿だったので、彼を傷つけてしまったかもしれないんですけど。悪いことをしたなぁ」
私は机に肘を立てて手を組み、そこに顎を乗せた。多少だらしなく見えるけど、きっと大丈夫。
「まだ私が彼の事をよく知らなかった頃、好きだって言ってもらえたんです。そのまま、返事ができなかったんですけど」
「……そうか」
彼はうつむいて、黙りこんでしまった。それでも、私は笑顔で彼を見る。
しばらくして彼は立ち上がり、私に背を向けた。
「そろそろ帰る。じゃあな」
「機会があればまた是非……」
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スプラMOMIZI(プロフ) - kirakirastar7さん» はじめまして。わー、ありがとうございます！！次回作は未定ですが機会があればまた作りたいです。 (2020年1月14日 16時) (
レス) id: e49f68cb2e (このIDを非表示/違反報告)
kirakirastar7(プロフ) - 妖聖剣と高校生。とても楽しかったです(o^^o)次の剣武魔神夢、期待してます (2020年1月13日 21時) (レス) id: a25d14debe (このIDを非表示/違反報告)
スプラMOMIZI(プロフ) - カンコクさん» ありがとうございます(*´ω｀*) (2019年10月26日 20時) (レス) id: e49f68cb2e (このIDを非表示/違反報告)
カンコク - 続きだ早くよみたいです (2019年10月26日 13時) (レス) id: 7ac3401ee1 (このIDを非表示/違反報告)
スプラMOMIZI(プロフ) - エンゼルフレンチβさん» コメントありがとうございます！朱雀かっこいいですよね〜、私は剣武魔神みんな好きです(*´ω｀*) (2019年10月13日 9時) (レス) id: e49f68cb2e (このIDを非表示/違反報告)
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