結果 ページ38
それから暫く経ち。
いよいよ、合格発表の日になった。
自己採点の結果は、合格範囲に入っていた。面接は…… 多少ぎこちなかったかもしれないけど、それなりに出来たはず。
今、私は一人で大学に向かっている。もちろん、彼らはついていくと言ってくれたけど、自分ひとりで確認したいと断ったのだ。
そう、これは私の事だから、私がしっかり結果を見なければいけないと思った。
大丈夫、大丈夫…… 正直、今は試験当日より緊張している。心臓の鼓動は、今まで生きてきた中で一番速くなっていた。
電車とバスを乗り継ぎ、降りてから一歩、一歩と歩き続け、大学に着いた。ごくり、と生唾を飲み込む。
気温は低く、寒いのに、私の体は汗をかいている。冷や汗だろうか。
発表する部屋に向かうと、既にたくさんの人がいた。皆発表待ちで、そわそわしている。だが、口を開く人はいなかった。
目の前には、裏返されたホワイトボードがあった。あれの裏に、結果が載ってる────
時計を見ると、あと五分で結果が発表されるらしかった。鼓動がより早まる。この五分、ものすごく長く感じる。
深く息を吸って、吐く。少し、鼓動が落ち着いたけどまだまだ速い。何か、気を落ち着ける物はないかとポケットを漁ると、鮮やかな赤い勾玉が出てきた。
この勾玉は、皆がくれたものではない。
阿修羅が、個別に私に渡してくれたものだ。本当はだめらしいが、特別、内緒だと言っていた。
真面目な不動明王や玄武なら絶対やらないだろうな、と思うと何だかおかしくてくすりと笑ってしまった。お陰で、また少し落ち着いた。
「発表です」
凛とした声が響く。と同時に、ホワイトボードが裏返された。皆、自分の受験番号を手にわっと押しかける。
私も、人波に少し揉まれながらも自分の番号を探す。
「(1389番、1389番……)」
1370番位から順に、番号を見ていく。
1371、1374、1375、1376、1383…
一気に飛んだ。青ざめながらも、その下を確認していく。
1384、1385、1386、1388…
1389。
その数字を見つけたとき、自然に涙が出てきた。
「……!」
口角がゆるみ、嗚咽が漏れる。ここにいたら後ろの人に邪魔だと、受付の方に向かった。手続きを済ませ、外に出る。
合格した、合格していた。
国立大学に合格した!
ものすごく嬉しくて、でも合格までが長くて、思わず公園のベンチに座り込んでしまった。
61人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
スプラMOMIZI(プロフ) - kirakirastar7さん» はじめまして。わー、ありがとうございます!!次回作は未定ですが機会があればまた作りたいです。 (2020年1月14日 16時) (レス) id: e49f68cb2e (このIDを非表示/違反報告)
kirakirastar7(プロフ) - 妖聖剣と高校生。とても楽しかったです(o^^o)次の剣武魔神夢、期待してます (2020年1月13日 21時) (レス) id: a25d14debe (このIDを非表示/違反報告)
スプラMOMIZI(プロフ) - カンコクさん» ありがとうございます(*´ω`*) (2019年10月26日 20時) (レス) id: e49f68cb2e (このIDを非表示/違反報告)
カンコク - 続きだ早くよみたいです (2019年10月26日 13時) (レス) id: 7ac3401ee1 (このIDを非表示/違反報告)
スプラMOMIZI(プロフ) - エンゼルフレンチβさん» コメントありがとうございます!朱雀かっこいいですよね〜、私は剣武魔神みんな好きです(*´ω`*) (2019年10月13日 9時) (レス) id: e49f68cb2e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ