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「今日、風信が寝てるときにAが突然怒鳴ったのよ。びっくりしちゃった」

「ったく、あいつは… 俺の血を引いてないからな。粗野だ。」

「あら、それじゃあ私が粗野みたいじゃないの。」

「お前じゃない。Aの父親だろ」

耳を疑った。今、あの男は何と言った?

粗野だ、と言った。何故? それは、自分の血を引いてないから。血を、引いてない?

ワタシハ、オトウサンノチヲヒイテナイ?

ナラ、ワタシハダレノムスメ?

言葉が頭を駆け巡る。途端に気持ちが悪くなった。腹の底から何か出てくるような気がした。思わず、床に座り込んでしまった。

「…っ、………!」

吐き気がする。とりあえず、洗面所かトイレに向かわなければ… と、顔を上げると、目の前に風信がいた。私を見下ろしている。いや、見下しているような目だ。

目をそらせなかった。風信は、私を何だと思い見ているのか分からなかった。より吐き気が強くなる。何とか立ちあがり、壁伝いに歩く。

風信の横を通り、洗面所に向かうとき風信が言った。

「お姉ちゃんには、到底分かんないよね。

僕の気持ちなんて…」

………は?

何を言っているのか。そんな事を言ったら、お前も分からないだろう。

お前がどれだけ両親に愛されているのか。

私がどれだけ両親に愛されなくなったのか。

−もう、どうでもいい。

私は静かに振り返り、風信の目を見た。風信は、びくっと動き、震えだした。そんなに怖い目だったのか。

この時、Aの目は光を失い失望に溢れていた。彼女にとって、それだけの出来事だったからだ。

−これが、私が()くなった日の事。

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スプラMOMIZI(プロフ) - kirakirastar7さん» はじめまして。わー、ありがとうございます!!次回作は未定ですが機会があればまた作りたいです。 (2020年1月14日 16時) (レス) id: e49f68cb2e (このIDを非表示/違反報告)
kirakirastar7(プロフ) - 妖聖剣と高校生。とても楽しかったです(o^^o)次の剣武魔神夢、期待してます (2020年1月13日 21時) (レス) id: a25d14debe (このIDを非表示/違反報告)
スプラMOMIZI(プロフ) - カンコクさん» ありがとうございます(*´ω`*) (2019年10月26日 20時) (レス) id: e49f68cb2e (このIDを非表示/違反報告)
カンコク - 続きだ早くよみたいです (2019年10月26日 13時) (レス) id: 7ac3401ee1 (このIDを非表示/違反報告)
スプラMOMIZI(プロフ) - エンゼルフレンチβさん» コメントありがとうございます!朱雀かっこいいですよね〜、私は剣武魔神みんな好きです(*´ω`*) (2019年10月13日 9時) (レス) id: e49f68cb2e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅ゆずりは | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年9月4日 19時

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