自問自答 ページ19
「ううん、いいの。何もなかったから。阿修羅さんに優しくしてあげてね」
「ああ。本当は、こんなやつではないからな?」
「……知ってる」
私は、そっと微笑んだ。
朱雀が見えなくなったのを確認し、窓を閉めた。
さっきは驚いた。まさか朱雀があんな大胆な行動に及ぶとは思わなかった。結果として何もなかったからいいけれど。
私も高校生だ、何も知らないわけではない。だが、今まで男性と付き合ってきたことがなく、そういうような経験はない。
なので、ああいう場合どうしたらいいのか全く分からなかった。次からは気を付けよう、と心に誓う。
ベッドから立ち上がり、ポットでお湯を沸かした。目を覚ますためにコーヒーを淹れようと思った。
阿修羅も、何故あのタイミングで現れたのか。まさか、あれが起こることを予想していたというのだろうか。まあ…… いいか。
お湯が沸けると、インスタントコーヒーの粉末をマグカップに入れ、お湯を注ぐ。適当にかき混ぜ、砂糖もミルクも入れずに口にした。
相変わらず能天気だ、私は。でも、きっとこれで良いのだ。うだうだと悩み続けるよりはましだ。それと、平気なふりをして嘘をつくより全然良い。
……あの男のように、嘘をつかなければいいのだから。
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昔から、独占欲が強いのは変わらない。人間界で見つけた、妖怪が見える娘。本来は妖怪が見えるというだけで珍しいのに、彼女の髪はさらに珍しい色だった。
自分たち剣武魔神にはないその髪色に興味を持ち、彼女に取り入って仲良くなることにした。良い暇潰しになるだろうと思っての事だ。
だが、彼女と接していく内に、己の思い上がりを恥じた。彼女は──Aは、誠意を持って自分たちに接してくれていた。
阿修羅と白虎は、昔から誰かと仲良くなるのが上手く、距離を縮めるのも早かった。二人がAにため口を許す旨の話をしていて、焦った。
『我も構わないぞ』
あの時、気づいたらそう口走っていた。二人に便乗したように見えてみっともなかったろうか、と思ったが、Aは素直に従ってくれた。
Aは口から漏れていたのに気づいてなかったが、以前ふとこぼしていた。
『朱雀は、綺麗でいいな』
何を言っているのだ。我からすればそなたの方が美しいのに。
そう思った瞬間、自分が病にかかったことを悟った。
一文字の病。つまり、恋の病だった。
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スプラMOMIZI(プロフ) - kirakirastar7さん» はじめまして。わー、ありがとうございます!!次回作は未定ですが機会があればまた作りたいです。 (2020年1月14日 16時) (レス) id: e49f68cb2e (このIDを非表示/違反報告)
kirakirastar7(プロフ) - 妖聖剣と高校生。とても楽しかったです(o^^o)次の剣武魔神夢、期待してます (2020年1月13日 21時) (レス) id: a25d14debe (このIDを非表示/違反報告)
スプラMOMIZI(プロフ) - カンコクさん» ありがとうございます(*´ω`*) (2019年10月26日 20時) (レス) id: e49f68cb2e (このIDを非表示/違反報告)
カンコク - 続きだ早くよみたいです (2019年10月26日 13時) (レス) id: 7ac3401ee1 (このIDを非表示/違反報告)
スプラMOMIZI(プロフ) - エンゼルフレンチβさん» コメントありがとうございます!朱雀かっこいいですよね〜、私は剣武魔神みんな好きです(*´ω`*) (2019年10月13日 9時) (レス) id: e49f68cb2e (このIDを非表示/違反報告)
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