【妖怪ウォッチシャドウサイド】妖聖剣と高校生。［剣武魔神］

序章 ページ1

この世には、ヒスイカズラっていう花がある。



ターコイズの色彩をしていて、咲いても数日で枯れてしまう花で、絶滅危惧種にも指定されている。



花言葉は、「私を忘れないで」。



人と妖怪の関わりもこれに似たようなものだ。
どれだけ仲良くなろうとも、人間が大人になったら、妖怪が見えなくなってしまう。



妖怪が見える人間なんて稀だし、妖怪と共にいた記憶は薄れてしまう。これは、妖怪の世の中の理としてある。



私は回りの人に、親しみやすい性格だとよく誉められる。でも、本当の私はこんなものではない。それが苦しかった。



彼らは、私の本当を初めて分かってくれた。私にとって、一番大切な人たちになった。だから、わがままを言わせてほしい。



私が大人になっても。



私があなた達を覚えていられなくても。



私と過ごした時が、何千年も生きているあなた達にとっては一瞬でも。



────私を忘れないで。

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