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鶴「おっ、いたいた。一期」
一「鶴丸殿、…その方は?」
鶴「俺の弟だ」
『…、』
鶴「こら」
『け、剣国永、です、』
縁側に座り弟たちの様子を見ていた一期一振に声をかけると、一期は鶴丸に抱かれた剣に注目する。
挨拶を躊躇して鶴丸の着物をぎゅっと握った剣だったが、鶴丸に促されて控えめに言葉を発する。
一「剣殿ですね、私は一期一振、粟田口の太刀です。私も弟がいるので、弟共々よろしくお願いします」
『よろしく、お願いします、』
無事に挨拶を交わして安心した鶴丸は、一期に早速非番の者はいないか訊ねる。
一「今日非番なのは、私、薬研、信濃、包丁、毛利、秋田…でしたかね」
鶴「よく覚えてんな…」
一「えぇ。
乱、後藤、厚は部隊員。平野と前田、鯰尾と骨喰は手合わせ。博多、五虎退、鳴狐殿は厨当番です」
鶴「すげぇ…」
一期の記憶力に若干引いた鶴丸だったが、どうされたのですか?と訊かれて我を返す。
鶴「あぁ、俺が今日遠征でな。夕餉までには戻るがその間こいつをお願いしたいんだ…」
一「そういうことでしたら協力しますよ、弟たちと仲良くできればいいのですが」
鶴「何だか俺と正反対でな、驚きを提供するどころかどうやらビビりな様なんだ。小さい者に手馴れてる一期がいるなら大丈夫だろ、悪いがよろしく頼む」
一「えぇ、任せてください」
それじゃあ昼餉を一食増やしてもらいに行くか、と一期と別れて厨に向かう鶴丸。
広い厨に行くと、料理が得意な刀剣たちと共に働く当番の者の姿。
鶴「光坊〜」
燭「鶴さん?あ、弟くんだね?」
鶴「そうだ!ほら」
『剣国永、です、』
燭「そうか、じゃあ剣ちゃんだね、よろしくね剣ちゃん!」
『ぁ、はい、』
鶴「光坊、昼餉を一食お願いできるか?」
燭「オーケー、任せて」
これでいいな〜と厨を出た鶴丸は、部屋に戻りようやく剣を降ろした。
鶴「なぁ剣、お前は今までどこにいたんだ?」
『、わかんない、です、』
鶴「お前を使った主のこともか?」
『、はい』
鶴「そうかー…。まぁいいか。今ここにいるなら。な!」
『はい、』
自分とは違い、どちらかといえば暗い弟に苦笑いをする鶴丸。
鍛刀された頃は、その容姿に似つかわしく笑顔が絶えない明るい性格で、鶴丸と一緒に驚きという名の悪戯を仕掛けては叱られていた。
そのことを薄らと覚えていた鶴丸は、別れた後に何かがあり、それが影響しているのだろうなと自身の弟を不憫に思った。
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新参審神者(プロフ) - 咲くやさん» ありがとうございます* 仕事などの息抜きに更新していく為やきもきさせてしまうかもしれませんが、お付き合いいただけると嬉しいです(^ω^)これからもよろしくお願いします*.° (2018年7月8日 0時) (レス) id: edf31ffc2e (このIDを非表示/違反報告)
咲くや - 面白くて続きが気になります 更新頑張ってください。 (2018年7月2日 23時) (レス) id: 2369d330ed (このIDを非表示/違反報告)
新参審神者(プロフ) - 夕月蝶さん» ありがとうございます!溺愛しすぎず厳しすぎずないいお兄ちゃんですよね…私もそう思います…(作者)w これからもよろしくお願いします♪ (2018年6月1日 15時) (レス) id: edf31ffc2e (このIDを非表示/違反報告)
新参審神者(プロフ) - 第一部隊さん» ありがとうございます!頑張ります(*ノ∀`*) (2018年6月1日 15時) (レス) id: edf31ffc2e (このIDを非表示/違反報告)
夕月蝶 - とても、面白かったです! 剣ちゃん可愛いです!! 鶴さん、いいお兄ちゃん!! これからも、頑張って下さい♪♪ (2018年5月31日 21時) (レス) id: 4346033303 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:新参審神者 | 作成日時:2018年5月22日 17時