笑顔のち、涙の雨 (ページ12)

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下り坂３０ページ12

なんだろう、この嫌な気分は。

小さい頃に体験したときと全く
同じような感覚。

気持ち悪い。

A「…うっ……。」

《ガタンッ…

耐えられなくなり、思わず立ち上がる。

たしぎ「！…A中将？」

スモーカー「A、ちょっと来い。」

A「えっ…？」

《グイッ…

スモーカーさんに腕を引っ張られる。

僕はそのままスモーカーさんについていった。

・

・

スモーカー「…ここでいいか…」

スモーカーさんはあたりを見回して
誰もいないことを確認すると、自分の
部屋の中に入った。

僕もそのあとに続いて入った。

《バタン…

スモーカーさんが部屋のドアを閉める。

一体何を考えているのだろうか。

A「あ、あの…？」

スモーカー「…悪かった。」

A「…はい？」

状況がよくわからない。

なんでスモーカーさんが謝るの…？

スモーカー「あの記事…無理矢理でも
隠すべきだった。ソレイユのこともな…。」

A「あれは…僕が自ら見たいって
思っただけだし……。それに、
これで家族は皆…海賊なんだよね。」

スモーカー「！！…なぜそれを…」

A「僕が何も知らないとでも
思った？スイート海賊団の船長は
僕の父さん。副船長は母さん。
そんでもって姉さんは恐らく幹部。
両親のことは、もう忘れるって決めたの。」

スモーカー「…海賊だからか？」

A「それもあるよ。それも
あるんだけど…一番の理由は、
なぜ姉さんと僕をおいていったのか、かな。
自分の子供より海賊を選ぶなんて、
僕だったらそんなこと絶対しない。
だから、親のことなんてどうも
思わない。」

スモーカー「ソレイユの手紙には
両親がお前に会いたがっていると
書かれていたが？」

A「会ったら容赦しない。
それがたとえ両親でも、姉さんでもね。」

スモーカー「……本気で言ってるのか？」

A「もちろん。」

スモーカー「ならなぜ泣く？」

A「泣いてなんか…！…って…あれ？」

頬に何か生暖かいものを感じた。

手で触ってみたら液体だった。

それは紛れもない自分の涙だった。