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『ゾムさんゾムさん！頼むから物騒なことはやめてや！？相手が貴族って忘れんようにな！？』
会場内が戦場になったいま、ゾムは培ってきた暗殺技術を存分に振るおうとしていた。もちろん言うまでもなく誰かを傷つけるつもりは毛頭ない。身をかがめ、誰よりも速く、颯爽とAをダンスへ誘い見せつけてやるのだ。
曲が終盤に近付くにつれダンススペースを囲む輪がじわりと狭まっていく。
誘いを待つだけだった女性たちも輪に加わり、その溢れる気概の矛先は、すべて目当ての男性・麗しの総司令官様、そしてイケメンな護衛役殿へ向けられた。
もし今回も護衛がトントンだったら過去の辛酸から巻き込まれなくないと嘘の電話でもしながら会場の外へ退場していたが、ゾムは自分が標的になっているとは知らず彼女たちの存在など完全に蚊帳の外だった。
壁の華では終わらない。
欲しければ実力で勝ち取る。
貴族たちにとってラストダンスの争奪戦はいつものこと。厳しい大自然を生きた先祖の血を受け継ぎ、種の保存と優秀な子孫を残すことを刷り込まれた獣人たちは男女関係なく手加減などしない。
例えそれが脅威として名を轟かせる歴戦の実力者であったとしても。
バイオリンの余韻が途切れた瞬間、飛び掛かってくる影にゾムは身を翻した。
「なんっ…！？」
驚いた緑の双眸に映る上等なドレスの群れ。文字通り目を惹くためのアタック«攻撃»が始まったのだ。
『ゾムさん手ぇ出さんで！』
貴族同士がぶつかり合うのと軍人であるゾムが手を出すのとはわけが違う。貴族側は気にしないかもしれないがあくまで交流会と銘打っている場で護衛役が貴族に手を出すのを上層部は良しとしない。
「くっそ！」
たかが貴族のやることだと悔っていた。腹立たし気に飛び退いたゾムの目に周囲がスローに映った。
ラストダンスだなんだのと鬼ごっこしている傍らで、押し退け合う男たちの真ん中で立ち尽くし怯えるA。当たり前だ、血眼になった男たちが大挙して押し寄せてくれば非力な人の身は危険を感じて当然。
ゾムの神経が一気に研ぎ澄まされた。着地と同時に駆け出したその速さは常軌を逸し、黒々とした波をすり抜け最前列に並ぶ。
残り数メートル数十センチ。同じく伸ばされた手が四方から細腕を捕らえようとした。
「A」
高らかに、一際大きく力強い翼が広げられ、空間を切り取るようにゾムの視界を遮った。
「ラストダンスをワタシと。どうか、愛しい従妹君」
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あまぎ(プロフ) - 亞さん» 嬉しくてニヤニヤニチャニチャしてます！！！物書き冥利に尽きると申しますか、言われて嬉しい言葉を3つも織り込んでくださっていてめちゃくちゃ飛び跳ねてます今！やったー！ありがとうございます！これからも褒めて貰えるように文章頑張りますー！ (2021年4月6日 7時) (
レス) id: 975a9486c5 (このIDを非表示/違反報告)
亞 - 設定がしっかりしていて、さらに場の雰囲気が想像出来る、、めっちゃ読みやすいです！続編楽しみにしてます！ (2021年4月5日 20時) (レス) id: a5aad03a9c (このIDを非表示/違反報告)
あまぎ(プロフ) - アルカさん» あのお風呂シーンは私も表現やアウトゾーンに悩みながらzﾑ視点で書きましたので、夢主のドキドキをお伝えできたなら満面の笑みでニッコリです！やったー！これからもきゅんきゅんして頂けるよう頑張りますね！コメントありがとうございました！ (2021年1月29日 17時) (レス) id: 975a9486c5 (このIDを非表示/違反報告)
アルカ(プロフ) - 読んでいるときゅんきゅんが止まらず、お風呂のシーン何か私まで顔を赤くして見ていました...。これからも更新頑張って下さい！ (2021年1月29日 14時) (レス) id: 710728be47 (このIDを非表示/違反報告)
あまぎ(プロフ) - こさゆさん» お褒めの言葉ありがとうございます！世界観は活かしきれてないところがまだあり、今後も好きだと言って頂けるよう精一杯広げて精進していきたいと思っています！嬉しいです…見てくださる方がいる事実で更新頑張れます…！これからもよろしくお願いしますー！ (2021年1月26日 21時) (レス) id: 975a9486c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あまぎ x他1人 | 作成日時：2020年7月4日 14時
