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「はあ... 少しずつ寒くなってきたね」
「あ、はい。そうですね」
白い息を吐きながら、2人で部室近くの外の道を歩く。
その姿も、こんなに近くで見れる事に、少しだけドキドキと胸がうるさかった。
「一週間前までは、この時間でも少しは明るかったのに、今は17時を過ぎると暗くなって。
今年も終わりに近づいて来てるって、この時期になるといつも思うよ」
「そうですね」
「それに、春高も近いし、少しピリッとした緊張感をただよってる」
「はい....」
「そんな空気もここ1年で俺は慣れたけど、Aはどうなの?緊張してる?」
「はい!それは、もちろんです。皆さんをサポートする側ですしね!本番は、頑張りますから!」
「そうか、頑張ってね」
そう言いながら、少しだけ微笑む横顔はとてもカッコよかった。
夜空に浮かぶ満月の光がやけに眩しく、その効果もあるのだろか。
それとも、今日が誕生日で歳をとったせいなのか。
いつもよりも大人びている赤葦先輩に、私の胸の音がどんどんとうるさくなった。
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「本当に、今日はいい日だね。月もいつもより綺麗だし」
「....はい」
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どんどんっと、近づいて行く部室。
どんどんっと、私の心臓も激しくなっていく。
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「A」
「....はい」
男子部室前、2人で立ち止まり、ドアノブを掴みながら、声をかけられた。
ジっと見つめてくる赤葦先輩の目は、ガラスのような透明感がある綺麗な目だった。
「いつか、言おうと思ってた事、いってもいいかな?」
「はい。なんですか?」
そう答えると、ドア方向に顔を向けながら、ぎゅっと、さっきよりもドアノブに力が入って、こう口にした。
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作者名:言ノ葉 x他1人 | 作成日時:2017年11月20日 0時