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それは....
.
「A、これもかな？」
「あ、はい！そうです！これ、全部で....」
「そうか。これだけの量のタオルを....
木兎さんたら....仕事増やしてごめんね。
俺から、木兎さんに言っとくからさぁ。早く終らせて、部室に戻ろうか」
「あ、はい！」
私はなんと足止め役になり、今は赤葦先輩と２人っきりなのだ。
シャイな私がこんな代役を務められる訳がなく、
一回は断ったが、木兎先輩が「俺にまかせろ！作戦がある！」っと言われて、仕方なくその大役を受け入れた。
けど、その作戦が....
「せっかく、Aが大量のタオルを洗濯して綺麗に畳んだのに、
自主練してた木兎さんのボールがあたって、ぐちゃぐちゃされたなんてね」
それも、なんとありきたりな作戦だ。って、思った事はここだけの話しにしておこう。
今は、それを体育館の隅っこで一緒に畳んでいるのだ。
木兎先輩は、逃げる演技をしたけども、
「軽くやるから！」
って言われたのに、けっこうな力でやったもんだからね。
内心、逃げて、ドヤ顔してたその姿を見て、イラっとした事もここだけの内緒だ。
「本当に悪かったね。俺もいたのに...」
「いえ！私も、そこに置いといたのが悪いんで....」
まあ、言われたとうりに置いたんだけど....
「けど、いい機会だったかもね」
数分、２人とも無言で畳む事に集中していた時、赤葦先輩が不思議な事を言ってきた。
「なんで... ですか？」
その事を畳みながら聞いてみると、赤葦先輩はふふっと笑って「なんでもない」言われた。
その顔も、いつも遠くで見ていたのに、こんな近くで見れた私は本当にいい機会だったと思った。
「よし。これで、最後だね？」
「あ、はい！」
「じゃあ、部室に戻って着替えようか？」
最後のタオルを畳み終わり、立ちながら縮こまった背筋を伸ばすその姿も、
カッコイイっと思いながら、２人でタオルを倉庫に戻して、体育館を後にした。
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作者名：言ノ葉 x他1人 | 作成日時：2017年11月20日 0時
