私が恋をしたのは……【3】 (ページ44)

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ホクト「あんたがいればタイガは死ねないと思ったからだ」

「え……？」

コーチ「大切なもんがそばにあると男ってのは
死なねぇよんなのよ。それが恋い慕う女なら尚更、な」

コーチ「ホクト、お前はそう言いたかったんだろ？」

ホクト様は一度だけ頷くと、温度のない声で告げた。

ホクト「……どうする？」

……何も出来ないと思ってた、
私が行くことで足手まといになると思ってた。

だけど、そうじゃない

出来ることを探して動くんだ。
2度と消えない後悔をしないために。

………タイガを守るために

「足手まといにならないようにします。
だから私も一緒にタイガの元に向かわせてください
お願いします！」

ジェシー「わかった。だけどお前もホクト同様に
犬死することだけは許さない。いいな……？」

「……うん、約束する」

ホクト「……急ぐよ、走って」

私たちは走り出す、
世界で一番優しい王子様の元に向かって。

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タイガを乗せた馬車は荒野をひた走り、
オブジェクトの王城を目指している___はずだった。

夜に染まる景色を見つめていると
馬車がガタンっ、と大きく揺れて停車する。

タイガが眉を寄せると
1人の兵が頭を下げ馬車の扉を開けた。

ロードサイド兵「っ、失礼します、タイガ様
急ぎご報告したいことがあり」

タイガ「どうした……？」

ロードサイド兵「前方にオブジェクトの紋章を
掲げた旗を確認いたしました……！」

タイガ「……人数は？」

ロードサイド兵「夜陰かつ遠方にいるので
正確な人数は把握出来ませんが、ざっと300人ほどいるかと」

それはタイガが付き従えてる兵のおよほ10倍だった。

ロードサイド兵「タイガ様…何かがおかしいですっ。
王城で迎えるはずのオブジェクトの人間がどうして
あんな場所に？」

ロードサイド兵「こんなこと考えたくありません、
ですが……これは罠、では？」

タイガは振り返ると、馬車の後方に視線を走らせ
一瞬だけ目を大きく見開く。

そして1度だけ息を吐き、
それから形のいい唇で言葉を紡いだ。

タイガ「…今から俺が言うことを聞いてもらう」

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タイガ「____俺だけをこの場に残し、我が兵は全員帰還せよ」