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「……っ、そんな作り話、誰が信じるって言うの」
ジュリ「作り話に人間は案外心を動かされる生き物
じゃない？アンタが一番よくわかってるはずだと思うけど」
「え……っ？」
ジュリ「アンタが大好きな本の中の物語は
大体誰かが創作した作り話だ。そしてそれをアンタは
愛してる」
……っ、それは
シンタロー「ジュリ……。こんな時にAを
無駄に煽るようなこと言うなよ！」
コーチ「シンタローに同意。けどまあ……ジュリが
言った筋書き通りに事が運ぶことも考えられるな」
コーチ「タイガにはオブジェクトを恨むべき理由がある。そこをあちらさんは最大限に利用してくると思うね」
……っ、こんなの、あんまりだよ。
タイガが今までどんな気持ちで生きてきたと思ってるの
タイガはオブジェクトに見捨てられて
それでも切り捨てられなくてずっとずっと苦しみ
続けてきた。
自分じゃない誰かだったらと、願うほどに。
苦しみに苦しみを上乗せする行為は、命だけじゃない、心まで殺そうとしているように思えて泣きそうになる。
「…それじゃこのままタイガと皆がやれられるのを
待つだけなの？」
ジェシー「……そんなわけないだろうが。
何のために俺たちがこうして集まってると思ってる」
「ジェシー……？」
ジェシー「助けるため、だよ」
ジェシーの琥珀色の瞳が、
百獣の王のような獰猛さを灯してギラリと光り……
ジェシー「こうなることを予想してベニアイタと
ジェノベに書簡を出しておいたんだよ。
援軍を頼みたいってな」
「っ、コーチさんとトモヒロさんが調べてくれるまではオブジェクトが裏切る確証はなかったんでしょ？」
ジェシー「ああ。もし勘違いだった場合は
責任を全部背負うだけだ。頭なら何回でも下げるぜ？」
ジェシー「…守らないといけないのは面子なんかじゃない大切な奴らの命だろうが」
ジェシーがにやりと笑い、凛とした声で告げる。
ジェシー「いいか、よく聞け！」
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作者名：きょうもち | 作成日時：2020年12月15日 18時
