私が恋をしたのは……【3】 (ページ4)

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"全軍出撃"

その言葉に、鼓動がどくん、と嫌な音を立てる

タカヒロさんが言ってたことが
本当になってしまったんだ……

____

タカヒロ「敵国は他の国と遊ぶことに忙しかった
ですが___制圧し全軍帰還したそうですよ。
皮肉なことにね」
_____

…それも、最悪の形で。

目の前が真っ暗になりその場に立ち尽くしていた
その時、身体がふわっと浮いて……

気がついたその時には円卓の間から
連れ出されていた____コーチさんによって

「っ、ちょ、ちょっとコーチさん……！？」

コーチ「まあ、そうジタバタしないで？
今日はいい天気だから、外で俺と遊ぼうぜ」

ジタバタともがいたけれど
コーチさんの腕から逃れられるはずもなく

あっけなく外に連れ出されこの状況に
相応しくないほどに燦々と陽が降り注ぐソファに
すとんと下される。

「っ__どうしてこんなことをするんですか！
っ、それにあの場にいなくてもいいんですか？」

コーチ「大方、話はまとまってだろ？
今頃、出征の準備を進めてるはずだろうなぁ」

コーチ「俺たちは準備が整いしだい馬に飛び乗って
戦地に向かうだけ。もうやることはないだろ？」

「…それは、そうかもしれません。
っ、だけど、こんな時にこんなところで
のんびりしてるなんて！」

コーチ「Aは真面目だねぇ。
良い子には俺が良いものをあげよう、
ほら口を開けな、はい、あーん」

「…？あ、あーん…？ん……っ！？」

突然、口に放り込まれた
棒付きキャンディーに驚いていると

コーチさんは自分も同じように
棒付きキャンディーをくわえ……
そして、にやりと唇の端を持ち上げた。

コーチ「"こんな時"だから、だろ」

「……？」

コーチ「焦ってると、大体物事ってのは
悪い方向に転がっていくもんだ」

あ……っ

焦っていた自分の心を見抜かれたようで
目を伏せると、コーチさんは一度だけ微笑んだ

そうだよね……
私が焦ってもしょうがないのに

コーチ「……まあ、こうもバタバタしてると
落ち着かなくなるのはわかるけどなぁ」

コーチ「俺もさっきからいやーなことばっか
思い出しちまってね」

「嫌な、ことって……？」

コーチ「お前さんはちょうど今から10年前くらいに
でかい戦争があったことを覚えてないか？」