私が恋をしたのは……【3】 (ページ27)

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リューセイの氷塊を閉じ込めたような
眼差しと無機質な声に、シンタローがぐっと
言葉を飲み込む。

ホクト「…オブジェクトはどうせ攻めてくる。
なら全面戦争すればいい。俺が全員、殺す」

ホクト「……だから行く必要はない」

タイガ「タカヒロ、俺は返還要請を受け入れる。
そう、返事して」

ホクト「……！？」

シンタロー「どうしてだよ、タイガ……っ」

タイガ「俺がまだオブジェクトの王子であることは
事実だ。見捨てた時に契約を交わしたわけじゃないしね」

タイガ「今回の要請を断ったらロードサイドの非だと
他国に捉えられかねない」

ジュリ「そんな状況じゃ他国は援軍を出し渋るかも
しれないでしょ…特にジェノベ辺りは静観するかもね」

ジュリ「援軍もない中でオブジェクトとの一騎打ちに
なったりでもしたら、この国は一貫の終わりだ」

ジュリ「___まあ、そう考えると…
タイガがあっちに渡るのはわりと得策かもね？
一歩間違えれば殺されちゃうかもだけど」

ホクト「………ジュリ？」

ジュリ「なにそんな怖い顔して。だって事実でしょ
向こうがタイガのことを大事に想ってるわけがないし」

ジュリ「それにタイガって神様にさえも
見捨てられたレベルの不運体質だよね」

ジュリ「助かる可能性の方が___」

ガタッと大きな音を立ててホクトは立ち上がると
距離を詰めてジュリを睨みつける。

ホクト「……あんたは言っていいことと
悪いことの区別もつかないのか」

ジュリ「かもね」

タイガ「ホクトもジュリもやめなよね。
俺は曲りなりも向こうの王子だ、殺されることはないよ」

タイガ「いくらあっちのやり方が非道でも
そう簡単に王族殺しをするとは思えない」

ジュリ「…….」

タイガ「…さてと、俺は向こうに渡るための支度をする
だから君たちは次の手を考えることだね」

タイガ「俺がせっか空気この身を削って
時間稼ぎをしてあげるんだからさ。じゃあ、失礼するよ」

高慢な笑みを残し、猫のような身軽さと
タイガは1人部屋を出て行ってしまう。

バタン、と扉が閉まった後、
ずっと黙っていたジェシーが口を開く

ジェシー「なあ、コーチ、トモヒロ
調べて欲しいことがあるんだけど__」