私が恋をしたのは……【3】 (ページ20)

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タイガ「俺は確かにこの国の王子なのに……
この身体に流れている血が俺を迷わせる……っ」

「……！」

タイガ「敵国の兵なんだから斬り捨てればいいんだって、頭ではわかってるのに、俺にはそれがどうしたって出来ない。」

タイガ「いざ目の前にいるオブジェクトの兵を見ると
何が敵で何が味方か、わからなくなる……っ」

タイガ「俺は…1度だってオブジェクトの地を
踏んだことがないのに、馬鹿…みたいでしょ」

……どうして

……っ、どうして、どうして、どうして、
気づいてあげられなかったんだろう

タイガは国交決裂を明示するために
オブジェクトに見捨てられてから、
ずっとこの国で生きてきた

だから"完全にロードサイド王国の王子"として
生きているんだと勝手に思い込んでしまっていた。

だけど……この優しい人が、
そう簡単に割り切れるわけがなかったんだ……

タイガのことをわかってあげられていなかった事実に
どうしようもないほど打ちのめされていると

タイガが震える声で言葉を紡ぐ。

タイガ「A。俺が前にティーグル家の
名誉を守るために次代の王になりたいって言ったこと
……覚えてる？」

「____うん、もちろんだよ。
忘れるわけないでしょう？」

……ずっと不思議に思ってたから

あの時、どうしてロードサイドを裏切る
かもしれない王子だ、なんて言ったのか

一緒に過ごす時間たちの中で、
タイガがこの国をどれほど大切にしているか知った。

だからこそ、タイガの口から発せられた
言葉にずっと違和感を抱いていた。

タイガ「本当はティーグル家の名誉なんて……
どうだっていいんだ」