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手当てを任された私は、
救急箱を手にホクト様に向き合う。
「ごめんなさい、医務室が空いてなくて
こんな場所で手当てをすることになってしまって…」
医務室はより重症な人たちのために使うことに
なっていて、場所に空きがなかった。
王族の治療を優先するのが普通だと思うけれど__
この国の王子たちはそれを拒む。
自分たちの兵を守ることを、一番に考える人たちだから。
ホクト「……別にいい。それより、あんた傷の手当て
なんてできるの？」
「ホクト様たちが出征した後、
何か出来ないかなと思って独学で本を読んで……」
「それからノゾム相手に練習したんです。
だからその………」
ホクト「不慣れでも、別にいい。大した傷じゃないから」
「それじゃ、失礼します………」
差し出されたホクト様の腕には、
痛々しい傷が残っていていまだに血が滲んでいた。
……血も止まり始めてるし、動かせなくなるような
大怪我ではないかもしれないけど
大した傷、じゃないわけない……
なるべく痛くないように手当てしないと
本と付け焼刃で得た知識でなんとか手当てを
進めていくと、ホクト様がぽつりと呟いた。
ホクト「……ねぇ」
「っ、ごめんなさい、痛かったですか……？」
ホクト「そうじゃ、なくて」
奇妙な沈黙が流れたあと、
予想もしていなかったことを聞かれた。
ホクト「……あんた、タイガと仲良いよね？」
タイガと私が、仲良しかどうか……か
「はい、仲良しだと思います。
一緒にいる時間が長いせいもあって」
ホクト「……そう」
どこか儚い表情を浮かべたホクト様は
また口を閉ざしてしまう。
……また奇妙な沈黙が
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作者名：きょうもち | 作成日時：2020年12月15日 18時
