56 こんにちは、♪【ジェシカ・パヴァース】 ページ10
「……」
立ち止まって、目の前の建物を見る。
病院と、教会と墓地。
病院の近くに教会と墓地、って、死ぬの前提みたい。
あは、面白い!
「…あの、どうかしたのか?」
そう、そういえば私、此処に人探しに来たんだった。
話しかけてきた青年に、少し鎌をかけてみる。
『こんにちは』
「…え」
どうかしら?もし探している人物なら答えられる筈だけれど。
「…えっと、」
『こんにちは、どうかされましたか?』
、と、ビンゴ。
『ええ、少し探し人を。“ドイツ語”お上手ですね。出身地はドイツですか?』
『いえ、出身地は日本です。ところで何かお困りのようでしたが、
探し人というのはどういう方でしょう?』
『…天音煉』
「…え?」
目を見開く青年、自分の名前が出てきて驚いたのかしら?
『、その、“天音煉”に何の御用で?』
『…天音煉様のお母さまが、探しているのです』
それきり、俯いて何も話さなくなった青年に気付かないふりをして、
私は続ける。
『でももう、見つかりました』
はじかれた様に顔を上げる青年、その目には恐怖の色。
「天音煉様でしょう?奥様がお待ちです、さ、帰りましょう」
口角を少しだけあげてそういうと、…。
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