33話 ページ37
日向は布団に深く潜る。
震える体を必死に抱きしめていた。それでも、恐怖心は一切収まろうとしない。
日向「赤葦さん……」
小声で、赤葦の名を口にする。彼の、躊躇なく人を殺してしまいそうな眼差しに見つめられてからというもの、怖くて仕方がなかった。
あぁ。自分に運がないだけなのか。それとも、王様はこの状況を故意に作らせたのか。
広い部屋に、全員集まって雑魚寝をしている烏野。起きているのは日向だけ。それがまた、恐ろしさを拡大させる。
そして。
上半身を起こし、斜めにいた……
谷地と、清水と、木下と、成田。
この四人をまじまじと見る。
…そう。罰ゲームから帰ってきた人たち。泣いた線がいくつも見える谷地。その悲しげな顔を見たくなくて、目を逸らした。
ホントに、この四人は生き返ったのだろうか？
でも、規則正しい寝息を立て、お腹は息で動く。口の前に手をかざしても、微かに生暖かい息が手をくすぐる。
日向「生きて帰ってくれただけで上等…」
日向は、ホッと息をつく。
そして、そっと隣に寝ている山口の手首に手を伸ばす。
とくん、とくん、とくん、とくん。
脈が感じられた。よかった。
寝ている顔すら、死んでいるように見えてしまう。なんとも、恐ろしい。
山口の脈があることに安堵し、次はまた隣の菅原の頬に手を当てる。
暖かい。体温を感じる。
今度こそ落ち着いた日向は、また布団を被る。
死と直面するということ。それは、この世の生きていたいと願う人にとっては、一番恐ろしいことなんじゃないか。
ほんの一秒でも休んでしまえば、明日死んでしまうかもしれない。今から死んでしまうかもしれない。
それは、誰もが考えていることだろう。
日向「夏、兄ちゃんは絶対帰るからな」
鞄についた、妹の夏からもらったストラップ。バボちゃんの隣で、今も千切れずに揺れている。
今体育館にいる宮兄弟も
廊下を歩む黒尾も
顔を歪める及川も
全員、生きたいと思っている。
だからこそ、自分が最後まで生き残るのは難しい。
日向「…寝ないと、明日頑張れないぞ！」
周りを起こさない程度の声量で、日向は自分に言い聞かせた。
若干、左隣の山口の方に体を寄せながら、目を閉じた。
外では風が吹き荒れる。窓を揺らして、家鳴りをさせる。
まるで
“本当の王様ゲームはこれからだ”
と伝えるかのように。
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キース(プロフ) - 平和ボケマンボウさん» 返信遅くなってすみません…作品の参加、ありがとうございました！魅力があるなんてなんと嬉しい……感謝しています、ありがとうございました！ (2021年10月25日 17時) (
レス) @page42 id: f19164db3a (このIDを非表示/違反報告)
平和ボケマンボウ(プロフ) - 作品拝見させて頂きました。読み進むうちにどんどん物語に惹き込まれていくような魅力を感じました！今回はイベントに参加して頂き誠に有難う御座いました。 (2021年10月19日 22時) (レス) @page7 id: 987adadeae (このIDを非表示/違反報告)
キース(プロフ) - プリン頭さん» コメント嬉しい限りです！書いてるこっちも推しを死なせてしまうのは悲しくて…wこれからも更新頑張りますので宜しくお願いします！ (2021年10月18日 11時) (レス) id: f19164db3a (このIDを非表示/違反報告)
プリン頭 - 更新くそ楽しみにしてます！研磨のいうアイツが誰かめっちゃ気になるのと、このままもう誰も死なないでくれという思いがぶつかってますｗ (2021年10月18日 10時) (レス) @page41 id: 867df5c599 (このIDを非表示/違反報告)
キース(プロフ) - 実花さん» 二度もコメント、めっちゃ嬉しいです！研磨の言うアイツとは…！？(笑)これからも宜しくお願いします！ (2021年10月17日 22時) (レス) id: f19164db3a (このIDを非表示/違反報告)
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