21話 ページ25
田中が帰ってきて暫く、命令は来なかった。もう昼の3時である。
命令が来ないため安堵すると思ったら、そんなことは一切合切あり得なかった。いつ、恐ろしい命令が来てしまうのか、押しつぶされそうだった。
縁下「なぁ、田中」
田中「お?」
暗い雰囲気の中、縁下が切り出した。
縁下「何があったか、教えてくれ」
「「「「「「「!」」」」」」」
全員が、息を呑んだ。五色から聞いた話だけでも、相当なモノだったのに、実際に巻き込まれて殺された田中。耳を傾けた。
田中side
体育館倉庫に来た俺たち。かつてないほど、心臓は音を上げ、足は震えていた。そして。不意に俺が瞬きをした時。一瞬で世界が、見える景色が変わった。
俺は慌てて周りを見た。そこは、森に見えるところ。合宿所付近に、こんな場所あったか?なんて。
目を凝らせば、木陰に見えたのはやっちゃんと木下。どうやら、バラバラに飛ばされた(?)みたいだ。
なんだよ、これ。んなファンタジーがある分けないだろ。俺は冷や汗をかいていた。でも。
成田「う゛ぉぉぁぁぁ!!!!」
いきなり、成田の悲鳴が聞こえた。条件反射で振り向けば、“バケモノ”に頭を鷲掴みにされた成田。
成田「に、逃げろ、田
俺は全部聞く前に走り出した。
んだよ、コレ!!今のはなんなんだ!?俺は何をされた、こんな場所知らねぇよ!王様は何がしてぇんだ!?
全力で走りすぎて、酸欠で頭がふらふらする。時々聞こえる鈍い音が、恐怖を掻き立てる。
まるで、全身をなにかに掻きむしられているような怖気が止まらない。必死に走るも。
田中「は………」
俺は足を止めた。
やっちゃんの死体があった。
自然と止まる足。立ち尽くす俺。なぜか、その死体を見ると「もう終わった」と思ってしまった。まだ化け物は来ていない。けど、もう動く気にもならなかった。
綺麗な金髪はズタズタに切られ、星の髪飾りは割れていた。かろうじて残った右手には、一本しかない指。骨と、肉が丸見えだった。
ダダダダダダ……
化け物が駆けてくる音がする。ゆっくりと振り向けば、斧を振り下ろそうとしている。
終わった。けど、楽に死ねるんだろ?…なのに。
ズダン
田中「ぉぉああぁぇえぁぉおあ!!!!!」
『腕だけ』切られた。壮絶な痛みが襲ってくる。とにかく、叫び続けた。痛みに、頭を掻きむしった。苦しい。痛い。辛い。
ただひたすらに、悶えた。
死なない。死なない。
多分俺は、失血死だったと思う。
田中side終了…
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キース(プロフ) - 平和ボケマンボウさん» 返信遅くなってすみません…作品の参加、ありがとうございました!魅力があるなんてなんと嬉しい……感謝しています、ありがとうございました! (2021年10月25日 17時) (レス) @page42 id: f19164db3a (このIDを非表示/違反報告)
平和ボケマンボウ(プロフ) - 作品拝見させて頂きました。読み進むうちにどんどん物語に惹き込まれていくような魅力を感じました!今回はイベントに参加して頂き誠に有難う御座いました。 (2021年10月19日 22時) (レス) @page7 id: 987adadeae (このIDを非表示/違反報告)
キース(プロフ) - プリン頭さん» コメント嬉しい限りです!書いてるこっちも推しを死なせてしまうのは悲しくて…wこれからも更新頑張りますので宜しくお願いします! (2021年10月18日 11時) (レス) id: f19164db3a (このIDを非表示/違反報告)
プリン頭 - 更新くそ楽しみにしてます!研磨のいうアイツが誰かめっちゃ気になるのと、このままもう誰も死なないでくれという思いがぶつかってますw (2021年10月18日 10時) (レス) @page41 id: 867df5c599 (このIDを非表示/違反報告)
キース(プロフ) - 実花さん» 二度もコメント、めっちゃ嬉しいです!研磨の言うアイツとは…!?(笑)これからも宜しくお願いします! (2021年10月17日 22時) (レス) id: f19164db3a (このIDを非表示/違反報告)
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