きっともう、逃げられない 〔HQ〕

19話 ページ23

菅原「俺からすると…田中が1番だと思う」

菅原が、口を開いた。放った言葉は、最もだった。

ムードメーカー的存在、頼れる背中。自然と考えは田中へと向かっていった。

西谷「龍にするのはわかったが…」

そう。問題は、誰が生贄なのか、だ。まぁ、死ぬことは確実だが、どうやって殺されるのか。首を切る、急所をひと刺しみたく、一瞬で殺してくれるならまだしも。中々殺してくれないのなら、耐え難いモノがある。

そんな中、ソプラノの可愛らしい声がした。

白福「私が、行くよ」

木葉「…は？」

綺麗な茶髪を揺らして、白福は言った。いつもの緩い雰囲気とは違う。覚悟をしていた。

雀田「選手よりも、マネか減るべきなの」

唯一残った、梟谷マネージャーの二人。覚悟してくれているのはありがたいこと。しかしその姿は…



早く、清水や谷地の姿を追いたそうな感じだった。

でも、そんなことには気づかない。マネを行かせるかの判断に、戸惑っていた。

白福「じゃあ、私行くね？」

「頑張って！」と、笑顔で言う。


ピロン…

『生贄の方は、体育館へ』

白福は、見た瞬間に走り出した。

木兎「雪絵、待て！！！！」

白福の後を追おうと走り出す木兎。しかし、その腕を雀田はありったけの力で止めた。急に止められた木兎はつんのめってしまう。

雀田「だめ！！」

瞳から、ぽろぽろ涙を零しながら、雀田は言う。赤みのある頬に、涙が伝う。「木兎たちは生き残るの！！雪絵の覚悟、台無しにするつもりなの！？」と言いながら。


『ｰｰｰｰ生贄を確認しました。』

携帯に現れた死人リストから、田中の名前をタップする。

『田中龍之介様ですね。了解しました』

文字が表示されて数秒後。廊下から、ガタン！と音がした。

旭「！」

烏野メンバーは、一斉に走り出す。









澤村「田中！！！」

澤村の声がする。そんなまさか。死人が帰ってくるはずなんて…半信半疑で、他の人たちも見に行く。



「「「「「え」」」」」

そこには、怪我一つない田中が横たわっていた。安らかな顔をしているため、寝ているのだとわかる。


安堵の声を上げて、烏野は喜ぶ。他のメンバーも、ムードメーカーが戻ってきてくれて、顔が綻んでいた。


五色「………え」

そんな時、怪我でよたよたと歩いてきた五色の顔が、田中を見た瞬間に青くなる。

天童「どうしたの、工？」

不審に思った天童が、五色に声をかける。

五色「そ、その人…」









五色「罰ゲームで、死んでたはず…！」

また、皆の眉間が、歪んだ。

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