らくだい魔女と幼なじみの約束 part7

あんな風になれたらいいね ページ37

フウカside

　窓から大きく身を乗り出してアリス〜っ！と呼ぶ。

チ「おい、変な事すんなよ。てか身乗り出しすぎ。」

フ「だーっ！分かったってっ！ちょっとだからいいじゃん。」

　一緒に乗り込んだチトセに一言返した時、焦ったような顔をして駆け寄ってきたアリスはあたしの肩を押した。

ア「だっダメだよ、危ないっ！ちゃんと座ってないとっ！」

フ「あたしは大丈夫。それよりっ！」

　そう言ってアリスの腕を引いた。

ア「え、何？」

　戸惑うアリスにニッと笑う。

フ「…アリスにはもう言っとこうかな。あたしたちの事。」

　そして耳元に口を寄せてそっと呟く。


　…アリスには言っておいていいよね？

　すぐばらしちゃいそうだけど。

　カリンにはあとで言うつもりだし…アリサちゃんたちには…うん、言わないでおこう。

　ママとおじいちゃんとセシルにも絶対言わない。

　―――それくらい恥ずかしくって嬉しい事。



　「あたしね。ちゃんと好きって伝えたんだ。今超幸せだよ。」



　そう言った後ですぐに身を乗り出していた体を馬車に引っ込める。

フ「あはは、思った通りすっごい表情。」

　ポカンと口を開けて窓越しにあたしを見つめ続けるアリスの顔がおかしくて爆笑してしまった。

チ「…お前、何言ったんだよ。」

フ「別にぃ。そんな変な事じゃないけど…アリスには言っとこうかなぁって！」

　そう言った途端、何それーっ！と馬車の窓をバンバン叩くアリス。

ア『き、聞いてないよソレっ！いつなのよっ！』

チ「…な、何だコイツ。」

　チトセは思い切り引いていて、顔が引きつりまくり。

　と、窓を叩き続けるアリスの後ろにユウが現れておいっ！と止めていた。

ユ『もう出発だからっ！』

ア『いや、だってフウカがっ！』

　そう言うアリスに分かったからと言ってアリスの手を握り、一歩後ろに下がった。

　幸せそうだな。

　二人を見てふとそう思う。

　あたしはそんな二人を見つめて、独り言のように呟いた。


　「……あたしたちもあんな風になれたらいいね。」


　ケンカしても、些細なことで気まずくなっても。

　気付いたら笑い合えるような。



　―――幼なじみのころと何一つ変わらない日を。



　彼と一緒に。




　一瞬目を見開いたチトセはその後で薄く微笑んだ。


　「だな。」


　その時、馬車がゆっくりと動き始めた。

また、会おうね。→←約束

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