契 約 執 事。 3 《 Kazunari Ninomiya 》

《58》知りたかったこと　　　　貴方side ページ10

「あ、先輩…、電源切っちゃってますよ……。」


「…え!?嘘……。」


「最初からやり直しですね。」


「……。」


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すっかり眠りに落ちている間に押してしまったであろうパソコンの電源ボタンを見つめ、ひとつため息を漏らす。


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「まあ先輩、手伝いますから、ね？元気出して下さい。」


「あ、ありがとうございます…。」


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そんな感じでもう仕事が終わっているはずの二宮さんを引き止めてまで手伝わせてしまった…((汗


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それからというものの隣からカチカチと淡々にキーボードの音が響くだけで、


本当に帰らなくても良いものかと少しずつ不安が募ったころだった。


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「……終わったー！」


「ホントありがとうございます!!」


「いえいえ。」


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ほぼ同時に残業が終了し、今度はしっかりと保存したのを確認し電源を切った。


そしてしばらくの沈黙のあと、二宮さんが口を開いた。


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「…あの、先輩ってなんで俺に敬語なんですか？」


「え？」


「前から思ってたんですよ。確かに命令口調とか似合ってないけど、なんで俺だけ敬語なんすか？」


「……。」


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それは前一緒にいたときの癖で…。


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言いかけて呑み込んだ。


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……今の二宮さんに言ってもきっと混乱を招くだけだからだ。


たぶん自分が契約執事をしていたことさえ覚えてない。


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でも、何があったのかは分からない。


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それが知りたい。


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「なんでだろう。二宮さんも敬語だからなんとなく最初に敬語で話しかけちゃったからかもです。」


「俺が敬語って当たり前じゃないですか。先輩ですもん。」


「そうですよね(笑)」


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そうだ。


真相を知っている人をまだ一人知ってる。

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