契 約 執 事。 3 《 Kazunari Ninomiya 》

《62》重ねられた人物　1 ページ14

「…二宮さ〜ん？」


「はい、先輩。」


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飲み始めて1時間くらい経ったとき、


先輩はまだ前にあるビールは2本なのにほぼ泥酔状態。


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っつっても俺がこんなとこ連れてきたのが悪いんだよなぁ。


下心丸見えっつーか。←


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「…もう一本……。」


「ダメですよ、先輩。もう酔ってるじゃないですか。帰ります？」


「……(ｺｸﾝ」


「じゃ、行きましょ。今日は奢りますから。」


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なんてちょっと格好つけてる間に先輩は千鳥足で会計に向かおうと財布を取り出している。


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「先輩、だからいいですって。」


「いいです…、私、払ってきます。」


「先輩！じゃあ、割り勘にしましょ？」


「……ん、はい…。」


「歩けます？」


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結局割り勘で、千鳥足の先輩を支えながら会計を終えてタクシーを呼ぶ。


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あ、先輩の家ってどこだろ。


このままじゃ絶対家までたどり着けそうにないしなぁ。


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そう考えて隣の先輩を見るとしゃがみこんですっかり気持ち悪いモードだ。


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「先輩送っていきますよ。…っつってもタクシーですけど。」


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最後は聞こえないようにボソッと言ったけど、たぶん先輩には聞こえてる。耳がいいから。


しばらくすると先輩は頷いて、俺のデニムの裾を掴んでズボンが滑り落ちそうな勢いで引っ張りながら立った。


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「…っぶね。

あ、えっとー、先輩、家どこですか？」


「……〇〇区5-187…です。」


「そこまで、お願いします。」


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運転手のおっさんが車を発進させると同時に俺の緊張がとけた。


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「……。」


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先輩はまだ顔を俯かせてはいるけど、しっかり俺との空間は保たれていて、

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“酔っ払って警戒心なくなった頃に一気に行く。”


という今まで成功率100％の方法は通じなさそうだ。


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「…んなの、前から分かってんじゃんかよ。」


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いつからか運転手さんからのミラー越しの冷たい視線が注がれていて、声に出ていたことに気づいた。

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