GOLD -YELLOW-

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その日から、玉森くんは機嫌がいい。

特に今日は、通院の日だから更に上機嫌。

朝から、

「もう完治してますよ、って言われたらどうする？」

とか、無邪気な笑顔で私に聞いてくる。

「そんなに早く治るわけないじゃん。」

両方使わないといけない松葉杖も、玉森くんは勝手に片方に減らしちゃってるし。

部屋ではけっこう普通に歩いてるし。

…正直、かなり治ってるとは思うんだよね…。






２人で仕事終わりで病院へ行って、診察室から出て来た玉森くんの表情を見て、

私は全てを悟った。

だって、すごいドヤ顔だよ？

…ヤバイ。

完治宣告出ちゃった？

でも、全治２ヵ月だよね？

まだ１カ月半しか経ってないよ？

「治ったって。」

「ほんとに？」

「…嘘。」

よかったー、嘘なんじゃん！

なのに、何で余裕たっぷりな顔してんの？

「来週、様子見て大丈夫だったら、もう完治だって。
ほとんど骨はくっつていてるらしいよ？」







「…何？完治宣告出たって思った？」

「…思った。」

「残念だったねー。
でも、多分来週は完治確定だから。」

涼しい顔をして会計を済ませてる、玉森くんの横顔をチラ見する。

「A、気付かない？」

「何？」

「松葉杖、もう返却してきた。」

…ほんとだ。

さっきから何か違和感があるって思ってたら、松葉杖がなかったんだ。

「…そういうわけだから。」

そう言って、玉森くんは私に微笑みかける。

何？そういうわけって。








でもやっぱり、骨折した方の足は今まで動かしてなかったから、かなり歩くのが辛そうで。

片足引きずるみたいにして歩いてるから、歩くのも遅くなる。

病院からの帰りもタクシーに乗ろうって言ってんのに、歩いて帰るの一点張り。

「リハビリしろって言われたわ、家で。」

「どんなことすんの？」

「最初はストレッチから始めて、スクワットとか。
とにかく体を動かせって。
Aも手伝ってよ。」

「いいよ。」

「楽しみ〜♪」

って、玉森くんは鼻歌まじりで歩いて行く。

もう、治っちゃうんだね、足。

玉森くんは、喜んでるけど。

わかってるのかな？

骨折が完治するってことは、玉森くんが私の部屋から出て行くってことだよ？

ちょっと前までの私は、玉森くんのこと、早く出て行けばいいのにって思ってたけど。

今の私は違う。

でも、こんな狭いワンルームに、いつまでも２人で窮屈に暮らしてるのは厳しいし。

そろそろ、覚悟決めないとね…。

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