GOLD -YELLOW-

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「ひどくない？
それなのに、私に押し付けたわけ？」

「だから戻って来たじゃん。」

「戻って、キーケース持ってすぐに帰っちゃったくせに。」






「…まあ、あの時は、なんか勢いで帰っちゃったんだけど。
やっぱり残って一緒に残業しようと思って、だから階段上がってた。」

そこからしばらく、沈黙が流れる。

玉森くんは黙ったままだし、私も何て言っていいかわからないから、黙ってる。

今までの話を整理してみると、玉森くんは私との距離を元に戻したかったってこと？

それで、わざわざ残業を手伝おうと思って、戻ってきてくれてる途中に、私が階段から落ちてきちゃったってことなんだ。






「…そっか。
なんか、いろいろありがとう。
怪我させちゃってごめんね。」

なんか今日、いろいろと謎が解けたような気がする。

だから、ちゃんとお礼も感謝の気持ちも伝えとく。

「玉森くんの骨折が完治するまで、私は一生懸命お世話するし。
距離も元に戻す。
今までみたいに、仲のいい同期でいようね。
たまには八つ当たりもしてもいいよ。」

さっきから私ばっかり話してて、玉森くんは全然返事もしてくれない。





「…なんか、勘違いしてない？A。」

静かなトーンで、ようやく玉森くんが口を開く。

「俺、Aと仲のいい同期に戻りたいなんて言ってないけど？」

そこまでまた、会話が途切れる。

また、私を傷つけるようなエグい言葉とか、言うのかな。

…もう慣れたけど。

「…俺は、Aに俺のことを好きでいてほしいだけ。」




その言葉に、私はなんだか悲しくなる。

だからつい、今まで隠してた本音を全部ぶちまけてしまった。

「玉森くんって、残酷だね。
あんな振り方しといて、まだ好きでいろって言うの？
もう私は、この先、恋愛とかできないと思う。
次に好きになる人ができても、またみんなの前で、「Aとだけは絶対ない。」って言われるのかな、とか思ったら。
もう、怖くて誰も好きになれない。」

一気にそう言って、布団に頭から潜り込む。

…言っちゃった。

でも言うんじゃなかった。

玉森くんとは、綺麗に別れたかったのに。






だけど、玉森くんはベッドから降りて、ふわっとお布団をめくって隣に入ってくる。

背中からぎゅっと私を抱きしめてから。

「A、ごめん…。
言い方間違えた。
もう、同期とか友達っていう関係はやめない？って言いたかったんだって。
だから…、もう俺のこと、彼氏にしてよ。」

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