原色Ｂ型男子図鑑

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なのに、先に目を逸らしたのは二階堂くんの方だった。

「何かあった？翠ちゃんと。」

「…告白された。
てか、何あれ？
女子みんなで変な雰囲気作って、
告白しろみたいに煽って、周りを固められたような感じで。」

…うわ、最悪のパターンだな、それ。

よく中高生の女子がやっちゃうヤツだよね。

告白に友達がついてきて、煽っちゃう的な。









「二階堂くんは翠ちゃんのこと、どう思ってるの？」

特に深い意味はないよ。

ただ、二階堂くんの気持ちが聞きたかっただけ。

「好きも何も…。
存在すら知らなかったのに。」

…は？存在すら知らなかった？

そんなことってあるの？

もう半年以上ゼミで一緒なのに。

「そんな子に好きとか言われても、ＯＫできるわけねーじゃん。
だから断ったのに…、泣かれちゃうし。
周りの女子からは責められるし。
もう…、最悪の飲み会だった。」

溜息混じりでそう告げられて、なんだか申し訳なさでいっぱいになった。

「ごめんね。」

それしか言えないけど。









「Aもあいつらと同じ意見なわけ？
あの子と付き合えって思ってる？」

「私は…、そこまでは思ってないけど。」

「じゃあ、何で来なかったわけ？」

「それは…。」

正直に言うべきか悩んだ挙句、不器用な私は全部ぶちまけてしまった。

紗矢ちゃんに頼まれたこととか、全部。

「私も知らなかったんだよ。
まさか男子が２人だけだとか。
…玉森くんも怒ってた？」

「かなりね。
ほとんど喋ってないと思う。
目が死んでた。」

…なんか、想像がつくよ。

せっかく「責任取って」まで言ってお願いした参加なのに、まさかこんなことになるなんて。









「Aが来ると思ったから行ったのに。」

「ごめんね。」

「もう二度と、ああいう飲み会には行かねーから。」

こんな風に文句を言ってるうちに、だんだん二階堂くんの表情は柔らかくなっていく。

私に言いたいこと言えて、すっきりした？

だから私も、ちょっと調子に乗ってみた。

「翠ちゃん、可愛いじゃん。
これを機に、恋愛対象として意識してみたら？」

そう言った途端に、ギロリとまた睨まれてしまった。

「…興味ない。」

「何で？可愛いじゃん。」

「Aの方が全然可愛い。」

ぼそっと低い声でそう呟くと、ぷいっと私に背を向けて二階堂くんはそのまま歩き出した。









…待って。

今なんて言った？

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