ペパーミントブルーソルベ

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「先生って、恋愛したことないわけ？」

ゆっくりと顔を上げたら、先生の目にはさっきの勢いはなくなっていて、少しだけ戸惑いが混じっていた。

しばらく悩んだあと、

「普通にあるけど」

とか、歯切れ悪く答えてくる。

「先生は何でもストレートに聞きすぎだよ
もうちょっと大人の余裕とかないわけ？」

そんな生意気なことを言えば、先生の顔はあからさまに不貞腐れたようなへの字口になる。

「別に、Aの年齢に合わせてやってるだけだろ」

「は？そんなに歳変わんないじゃん」

私が睨みつけるからか、先生も睨みつけてくるし。

なんだろう、この構図は。

とても恋愛には移行しそうにない雰囲気。








「もし、私が二階堂先生のことを好きとか言ったら、どうするわけ？」

先生は一向に視線を外してくれないから、しばらく睨み合いをした結果、自棄になった私はそんな言葉を口にしてしまった。

「どうするって…」

さっきまで威勢の良かった先生は、また目力を弱める。

しばらく思い悩んだような表情をして、だけどまた、目力強めに私を見降ろしてきた。

「きちんと考えたいと思う」

「何を？」

「俺がAのことを好きなのかどうか？」

「考えないとわかんないの？」

先生が何か言う度に、私は矢継ぎ早に言葉を返していく。

嫌なヤツだよね、私って。

私が男なら、こんな生意気な女子となんか付き合いたくないよ。








「いいよ、わかった」

先生は諦めたような溜息をつく。

「そこまで言うなら、付き合ってみる？俺ら」

は？

どういうこと？

「何でそこまで行っちゃうわけ？」

先生は融通がきかない。

ゆえに、まっすぐ過ぎて選択肢の中に〇と×しかなくて、△というものがないんだと思う。

だからって、いきなり付き合うとか、頭おかしいんじゃないの！？

「…無理」

そこはちゃんと断っておく。

だけど、そんな私の言葉に、先生は傷ついたのか寂しげに目を伏せた。

「好きでもないのに付き合うとか、先生どうかしてるよ」

「俺的には、お試し的な感じで付き合ってみたらいいと思ったんだけど」

「試してみて、やっぱ無理ってなったらどうなるわけ？」

「友達に戻ればいいんじゃない？」

そんな簡単なものじゃないんだって。

お試し恋愛の結果、先生が「やっぱ無理」ってなった場合。

私は先生のことを好きだったら？

一体どうしたらいいわけ？

そのダメージは、想像を絶するものになりそうなんだけど。

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