ペパーミントブルーソルベ

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「家は無理だって」

そう言ってんのに先生は、

「は？あんなに頑張ったのに、お礼もなし？」

なんて、あどけない笑顔で押し切られて、結局は私が折れることになった。

先生が２週間ぶりに家に訪れたことで、瑠宇は久々にご主人様に会った飼い犬みたいな状態になって、先生から離れなくなるし。

そして、みんなでカレーを食べたあと、

「A、途中まで送ってよ」

いつものようにそう言って、先生は私を公園へと呼び寄せた。








「Aには、ちゃんと話とこうと思って」

いつものよう隣同士で、ゆらゆらと不安定なリズムでブランコを揺らす。

「今回の手続きのことで助言してくれたのは、長谷川先生なんだよね」

…なんか、実はそんな予感がしてた。

先生１人で、こんなに完璧に出来るものなのかと疑ってた部分もあったから。

「その時に、長谷川先生に言われた
Aが俺との仲を疑ってるみたいだって」

途端に心臓が、嫌な感じでドキドキしてくる。

長谷川先生って、一体どういう人なのかよくわからなくて。

もしかしたら善人なのかもしれないし、悪人なのかもしれないし。

「Aに「私は二階堂先生に好かれるような人格の持ち主ではない」って話したって言ってた
それ、本当？」

「…本当」

「あのさ…、Aに言われてから俺もよく考えたんだけど…
俺が長谷川先生に抱いてる気持ちと、Aに抱いてる気持ちって同じのような気がするんだよね」








「ほっとけないっていうか
手助けしてあげたくなる、みたいな」

先生の言いたいことは、なんとなくわかる。

意外におせっかいな部分があるから、先生は。

でもそのおせっかいは、恋愛と混同しがちな面倒なヤツだ。

「でも俺、気付いたんだよね
長谷川先生には何か見返りを求めたりなんかしないけど、Aには見返りを求めたくなるっていうか…」

見返り！？

それは一体どういう意味で？

「見返りって何？」

「今夜のカレーとか？」

って、急に子どもみたいな顔して笑いかけてこないでよ。

私は先生と出会ってから、ずっとこの笑顔にやられっぱなしなわけで。

仏頂面からのこの笑顔のギャップが激しすぎて、これを直視するとかなりのダメージを食らうわけで。

「だから、Aの家に通うのはやめない
これからも行くからね」

そう言って先生は、殺傷力全開の無邪気な笑顔で、私に微笑みかけてきた。

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