ペパーミントブルーソルベ

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その夜は、先生に家まで送り届けられて、

「とりあえず、いろいろ方法を調べてみるから
変な気起こすなよ」

ものすごい目力でそう言われて、私はただ頷くしかできなかった。

別に、今すぐにお金が必要だったわけじゃない。

ただ、姉が帰ってこないというということは、私が瑠宇を育てなければならないわけで。

その不安に押し潰されそうになった結果、とりあえずお金を稼ぐという方法に走ったわけで…。

両親の保険金はあるものの、玲の進学費用とか今後の生活費であっという間に尽きてしまいそうな額だから。








正直、私は二階堂先生には期待してなかった。

先生が経済的な援助をしてくれるとは思えないし、ただの気休めぐらいに考えてたのに。

だけどその数日後、私は警察と役所に先生に連れ出されていた。

わざわざ仕事まで休まされて。

「大丈夫、千賀に話つけといたから」

「千賀って…、千賀先生？」

「高校の同級生なんだよね
Aの勤めてる保育所を聞いた時に、なんか聞き覚えがあって」

千賀先生とは私の直属の上司で、新人の私の指導係でもある人で、まさか二階堂先生と友達だったとは驚きなんだけど！








その後も私の驚きは続いた。

二階堂先生はテキパキと警察で姉の失踪届を出し、役所でいろんな手続きを手伝ってくれた結果、瑠宇の児童手当やさまざまな手当を受けられるようになった。

おまけに将来的に瑠宇が進学する時に使える奨学金まで紹介してもらえたわけで。

帰り道、先生は異常に機嫌がいい。

「もう変なこと考えんなよ」

って、妙に偉そうだし。

でも助かったのは本当なわけで、

「今日はありがとうございました」

信号待ちで深々と頭を下げたら、先生は更にドヤ顔になる。

「だから１人で考え込むなって
最初から俺に相談すればいいのに」

「…できるわけないじゃん
先生は瑠宇の担任なだけで、私とは何の関係もないのに」

信号が青に変わったタイミングで、私は先生よりも先に歩き出した。

やっぱり私はおかしい。

先生のことを遠ざけたいのに、先生といることに幸せを感じているわけで。

こんな状態はよくない。

早く先生と距離を置かないと！







そんな決意を胸に、私は早足で歩き続けるけど、先生はそんな私の感情にちっとも気付いてないって風で、簡単に距離を詰めてくる。

「今から家に行っていい？
カレー作ってよ」

…って、少しは空気読めよ！

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