無敵のスピカ

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『おぉ、宏光久しぶり。久々に会わないか？Aも会いたがってるよ。』




仕事の都合で今は真鍋と離れた場所で暮らしてる俺。
電話が来るのも数年ぶりだ。




･･･真鍋は俺とAの事、時効にしてんだな。



じゃあ、Aは？





「おぉ。俺も久しぶりにおまえらに会いたいよ。次の休み、都合付けばそっち行くわ。」




僅かな期待を込めて電話を切る。



俺はあれから十数年、
どうしてもAが忘れらんなかったんだから。



Aは？
もう俺なんて愛想尽かしちゃってる？
俺なんてどうでもいい存在ってくらい今、幸せ？


いつかあいつが言ってた言葉を思い出す。



『私、宏光の事は十年経っても二十年経ってもずっと好きだよ？』




あの時の俺は
そんな事ある訳ねーだろ？って冷たく言い放った覚えがある。



･･･そんな、一時の感情なんて信じらんねぇって。




Aはああ言った事、覚えてんじゃねーかなって。
だから、今でも俺を･･･？



そして･･･何年経った今でも
俺はきっとAと二人きりになろうもんなら
抱きしめたくて我慢なんて出来ないと思う。






だから会いに行くべきか行かざるべきか･･･。




でもここへ来て当たり前に理性が働く俺は
ようやく大人になれたみたいだ。




この理性が若い頃あればな･･･
Aも苦しまずに済んだし
俺もこんなにAを想い続ける苦しみも味わわずに済んだのに。




ベランダに出て
一人で苦笑いしながらタバコに火をつけた。




ふぅー、と煙を吐いてると
あの頃のAがどんどん想い出されてくる。



彼女として付き合ってた頃は我慢出来たタバコが
二番目になった途端目の前で平気で吸っちゃってさ。
最低、俺。







・・・やっぱりこんな俺と、もう会わない方がいいか。
Aの為には。



咥えタバコでスマホをタップする。



『やっぱ行けねーわ。わり。』



送信して、ため息をついた。




自業自得だ。
昔の俺のした事は、許される事じゃねーよな。






一生背負ってくか。






こんなクズみたいな俺に微笑んでくれてたA。


あのあどけない顔を思い出して、それを打ち消すように視界をタバコの煙で真っ白にした。








『宏光、大好きっ、』


『俺は愛してるよ。』






あの時よく吐いた台詞。




今は




「俺の方が愛してるよ」




かな。








「二番目の女」


Fin

二番目の女 …りたわかめ… 1→←4

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