46 ページ46
「やっぱ俺らの距離、遠くね?
そういうのが寂しいんだけど、俺」
電話から聞こえてきた声があまりに寂しそうだったから、つい柄にもなく言い訳を始めてしまった。
「違うって
そんな深刻な話でもないし、もう終わった話だから」
「言わないつもりだったわけ?」
「···まあ、そうだけど」
「話してよ
終わったんなら、よくない?」
なんでだか北山くんに、元彼の話をするのは気が引けるんだ。
あまり知られたくないような、そんな感じ。
「霞さんにはどこまで聞いた?」
「なんにも
話を聞いてやれって言われただけ」
霞さん…、世話焼き過ぎない?
「で、何の話?
聞かないと、気になって寝れないんだけど」
彼はこういう時、なかなか引かない。
仕方なく、今日の昼休みの出来事を話して聞かせていたら、どんどん相槌を打つ彼の声色が変わっていく。
「それ、ちゃんと断れてんの?」
明らかに不機嫌な声になった彼は、ボソボソとそう訊ねたあと、
「…やっぱ、行くわ
これから」
そう言って、勝手に電話を切ってしまった。
待って。
行くわって言った?
しかも今から?
もう日付もとっくに跨いじゃってるのに。
急いで部屋を片付けたり、着替えたりしていたら、15分も経たないうちに.外から鍵のシリンダーが動く音がした。
「おつかれー」
目も合わせないで怠そうに部屋に入ってきた彼は、靴を脱ぐと慣れた様子でいつもの席に座って、
「なんか、我慢できなくて来ちゃった」
とか言い訳しながら、隣の席をポンポンと叩いて、私も座るように促してくる。
だけど席に着いたら、速攻で頭ごと抱えるようにして抱きすくめられた。
最近の彼は、いつもこうだ。
私を驚かせるようなことをしてばかり。
そして、私の頭にちょこんと顎を乗せると、不満げに呟いた。
「何、あれ」
「···何って?」
「さっきの電話
霞さんに教えてもらってなかったら俺、何も知らなかったわけ?」
「だって···」
そう言いかけた先の言葉を、ぐっと飲み込んた。
だって、あなたは彼氏じゃないじゃん。
言う必要なくない?
なんて言ってしまったら、彼は簡単に傷つきそうだから。
「なんか寂しいんだけど」
頭の上から聞こえてくるその声が、意外にも本当に寂しそうで、
「ごめんね」
思わず私は謝ってしまった。
「なんかしっくりこなくない?この状況
Aの元彼の話とか聞いちゃうとモヤモヤして、我慢できなくなった」
1801人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りたわかめ(プロフ) - えぴさん» ありがとうございますm(__)m (2022年1月2日 21時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
えぴ - ほんとにリアルすぎて最高です! (2022年1月2日 18時) (レス) @page21 id: 06d564cdce (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - えりさん» 本日、移行いたしました。えりさんをドキドキワクワクさせられますように(*'ω'*) (2020年2月7日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - renaruriさん» 更新いたしました。ちょっと急展開になってるかもです(/ω\) (2020年2月7日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - moraさん» やったー!いい感じに予想を裏切れてる?私w moraさんの予想を裏切れるよう頑張ります(*'ω'*) (2020年2月7日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:わかめ | 作成日時:2019年9月28日 20時