5 ページ5
私はわざと彼から少し離れた斜め向かいに座ると、彼にミネラルウォーターのペットボトルを手渡した。
さすがに昼間だし、ビールってわけにはいかないだろうと思って。
「本当にありがとうございました
北山さんが連絡してくれなかったら、今頃もう死んでたかもしれない」
深々と頭を下げて、お礼を言う。
だって私は、彼に命を救ってもらったようなもんだから。
「体、大丈夫？
霞さんから大体のことは聞いた
転倒して頭、怪我したんだって？」
「もう大丈夫
北山さんは私の命の恩人だね」
そう言ってるのに、何故か彼は目を伏せてしまう。
「…てかそれ、俺が原因じゃん？
Aちゃんが風邪ひいたの
あの日、雨に濡れて体を冷やしたせいで風邪をひいたんだと思うし」
「違うって
だって北山さんは風邪ひいてないじゃん」
「俺は鍛えてるから」
「鍛えてても、風邪はひくよ？」
「なんか申し訳なくて
あの日だって、朝一番で駆け付ければよかったとか、後から後悔してみたり」
…意外と彼は、ネガティブな部分がある。
だけど物憂げに目を伏せた彼の横顔は、信じられないくらいになまめかしい。
女の子なんじゃないかと思うくらい綺麗なその横顔で、
「Aちゃんの大事な時に、全然役に立ってなくない？俺」
と、不満げに唇まで尖らせた。
「Aちゃんから相談があるって連絡をもらったのに、仕事で話も聞けなかったし
俺、けっこう嬉しかったんだけど
Aちゃんから初めて要請が来たのが」
「仕方ないよ、忙しいんだから
それより、そのやりとりがあったから、私は孤独死せずに済んだんだし」
「孤独死って」
ようやく彼が笑ってくれたから、私の胸は一気にざわつき始める。
もう無理だ。
私はこの人が好きすぎる。
思いっきり恋愛感情を抱いてるけど、彼に愛されたいだとか付き合いたいだとかは、まだ思えなくて。
おこがましいというのもあるけど、目の前の彼が完全に私のものになるなんて、とても思えないから
「あ、お土産持ってきた
今日帰国してきたから」
彼は鞄の中からごそごそと紙袋を取り出して、手渡してくれる。
紙袋の中から出てきたのは、ラッピングされた小さな三日月のシルバーのネックレスだった。
「Aちゃん、あんまりアクセサリーとかつけてないから
…つけてあげようか？」
上目遣いでチラリと私の表情を窺うと、立ち上がって背後に立つ彼は、
意外と大胆に私の首に指で触れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1802人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りたわかめ(プロフ) - えぴさん» ありがとうございますm(__)m (2022年1月2日 21時) (
レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
えぴ - ほんとにリアルすぎて最高です！ (2022年1月2日 18時) (レス) @page21 id: 06d564cdce (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - えりさん» 本日、移行いたしました。えりさんをドキドキワクワクさせられますように(*'ω'*) (2020年2月7日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - renaruriさん» 更新いたしました。ちょっと急展開になってるかもです(/ω＼) (2020年2月7日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - moraさん» やったー！いい感じに予想を裏切れてる？私w moraさんの予想を裏切れるよう頑張ります(*'ω'*) (2020年2月7日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わかめ
| 作成日時：2019年9月28日 20時
