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私達の間に変な緊張感が流れ始めたその時、ガラリとウッドデッキの窓が開けられる音がして。

「2人とも入っておいで
外、寒いでしょ」

霞さんのその声で、張り巡らされていた緊張感は一気に吹き飛ばされた。

窓が閉められた音と同時に、彼は困り笑いで私に問いかける。

「どうする?
呼ばれてるけど」

「呼ばれてるなら帰ろうかな」

そう言いながら立ち上がったら、彼も同じように立ち上がってきた。

「いいの?
さっきの質問に答えなくて」

意地悪い顔で、私の頬をつついて。

「答えられないくせに」

「答えられるよ」

「じゃあ、言ってよ」

「今、言っていいの?」

口元に余裕の笑みを携えながら、私の髪を指でくるくると弄んでくる。。

本当に…、この人は悪い男だ。








「いいよ」

「でも俺、言葉でうまく表現できないかも」

そう言っては、後頭部をふわりと引き寄せて、手慣れたキスをかましてくる。

…まただよ。

こういうことすれば、私がドキドキするとでも思ってるのかな。

まあ、ドキドキしてるんだけど…。

だけど突然、私の背後で窓が開けられる音がして、慌てて離れようとしたのに、

彼は後頭部を引き寄せたまま、離してくれなかった。

誰かが見てるって!

彼だって、きっと気付いてるはず。

もしかして、わざと見せてるとかじゃないよね?









私の背後から、窓越しに誰かの声が聞こえてくる。

「宏光、風邪ひくから戻ってこい!」

…ああ、この声は。

見つかると一番面倒くさい、霞さんの旦那さんの声じゃん。

すっと唇を外した彼は、私の頭越しに、

「すぐ帰る」

普段通りの声でそう答えては、私と目が合った途端、あどけない笑顔を見せてくる。

「見つかっちゃったね」

「今の、わざと見せたでしょ」

少し怒った声でそう言っても、彼は怯みもしない。

「いい機会だし
そろそろ、公表してもいいかなって」

「付き合ってもないのに?」

「だから口説いてんじゃん、ずっと」

彼はずっと余裕の笑顔なままだし、まるでからかわれてるような気分になって、私はずっと不貞腐れていた。

「そんな中途半端な口説きじゃ、無理」

「じゃあ、もっと本格的なのがいい?」

せっかく今までいい感じに、ゆるゆると一緒にいられたのに。

最近の彼は本当に変だ。

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りたわかめ(プロフ) - えぴさん» ありがとうございますm(__)m (2022年1月2日 21時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
えぴ - ほんとにリアルすぎて最高です! (2022年1月2日 18時) (レス) @page21 id: 06d564cdce (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - えりさん» 本日、移行いたしました。えりさんをドキドキワクワクさせられますように(*'ω'*) (2020年2月7日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - renaruriさん» 更新いたしました。ちょっと急展開になってるかもです(/ω\) (2020年2月7日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - moraさん» やったー!いい感じに予想を裏切れてる?私w moraさんの予想を裏切れるよう頑張ります(*'ω'*) (2020年2月7日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2019年9月28日 20時

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