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「それは…、わかんない
でも、契約は来年の３月までだから、それ以降の仕事を探さなきゃいけないのは本当」
一呼吸置いたあと、
「もしかしてAちゃん、
例の研究員の仕事、本気で考えてる？」
また固い声で、彼が訊ねてくるけど。
一体彼がどんな顔をしてそんな質問をしているのか、それが怖くて振り返れないでいた。
真顔なのか、呆れ顔なのか、それとも本当に怖い顔をしているのか。
「…まだ、何も考えてない
秋頃には決めたいな…、とは思ってる」
パソコンを見ながら、適当に答えるふり。
本当にまだ、何も考えられないんだ。
でも、もし私が地方で勤めることになったら、こんな風に彼とは会えなくなるわけだし。
そんな会話をしているタイミングで、デリバリーが届き、話題は一旦中断されてしまった。
大きな器に高そうなネタのお寿司がたくさん入っていて、しばらく2人で食欲に流されてたんだけど。
お寿司も残り少なになった時、不意に彼はまたさっきの話題を持ち出してきた。
｢そこ、給料とか福利厚生はどうなの？｣
って、軽い入りで。
｢資料はもらったけど、まだよく読んでない
でも、今よりは安定するんじゃないかな｣
｢今の給料って、安いの？｣
ずいぶんハッキリ聞くんだね。
じゃあ私も、彼の給料を聞いちゃっていいの？
｢安いよ
普通に就職した方が、いい給料をもらえると思う｣
｢それでもAちゃんは就職しなかったわけじゃん？
それって何で？｣
何でって…。
明確な答えはない。
ポスドクの中には、このまま大学に残ってあわよくば教授職にそのままスライドできたら、って考えてる人もいるだろうけど。
私は本当に、ただ何となく、なんだ。
｢研究者で居続けたかったから？｣
｢…まあ、そんなとこかな｣
自分の進む道をまっすぐひた走ってる彼には、本当のことなんて、恥ずかしくて言えそうもない。
私には、ただただ彼が眩しすぎるんだ。
｢Ｔ大の…、今の研究室には居続けられないわけ？｣
｢希望すれば、なんとかなるかもしれないけど。
いつまでも居続けられるわけじゃないし、教授も次の進路を勧めてきてるし｣
｢諦めんの？｣
途端に厳しくなる彼の口調。
あやふやな私の態度に苛ついてるであろう彼の、その横顔と、伏せられた目に縁取られた睫毛が、あまりに綺麗だったから。
不埒な私は、さっきからそのことばかりを考えていた。
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りたわかめ(プロフ) - えぴさん» ありがとうございますm(__)m (2022年1月2日 21時) (
レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
えぴ - ほんとにリアルすぎて最高です！ (2022年1月2日 18時) (レス) @page21 id: 06d564cdce (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - えりさん» 本日、移行いたしました。えりさんをドキドキワクワクさせられますように(*'ω'*) (2020年2月7日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - renaruriさん» 更新いたしました。ちょっと急展開になってるかもです(/ω＼) (2020年2月7日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - moraさん» やったー！いい感じに予想を裏切れてる？私w moraさんの予想を裏切れるよう頑張ります(*'ω'*) (2020年2月7日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2019年9月28日 20時
