18 ページ18
「北山さんは、帰省とかしないんですか？」
もうこれ以上彼のことを直視出来なくて、話を逸らしながら目線も逸らしてみる。
だけど、彼はそんなに簡単じゃなかった。
「Aちゃんは？
帰らないの？実家」
何故か質問返しされてるし！
酔ってても彼は、自分のことを簡単には語らない。
「遠いんで、実家
夏に帰ったのでお正月は帰りません」
「遠いんだ？
実家どこ？」
…ってほら、また質問されちゃってるし。
「北海道です」
「確かに気軽には帰れなさそうだね」
彼は無防備に微笑むけど、きっと頭の中は冷静なんだろうな。
ちゃんと発言に気を付けてるんだと思う。
彼にとってこの場所は、気楽に自分を出せる場所なんだと思う。
みんな自分のことを知ってくれていて、それでいて普通に接してくれる、みたいな。
そんな場所に、私みたいな怪しい存在がいていいんだろうか。
彼的に、リラックスできないと思うんだけど。
「帰省しないんなら、また来れば？
俺らまた、あさってにここで飲み会するから」
あさって！？
ずいぶん早くない？
「お友達も一緒に」
そう言ってチラリと、彼は朋の方へ視線をやった。
「ずっと泊まってんだって？Aちゃんのとこに
お友達、いつまで居んの？」
「5日くらいまではいるかと…」
「へえ、仲いいんだね
いつからの友達？」
「中学からです」
…って、やっぱり私は彼に質問攻めにされてる状態で、どうしてもこちらからも質問したくなってきた。
「北山さんはいつから仕事始めですか？」
「Aちゃんは？」
また切り返されちゃうけど、私はすぐに反撃にでる。
「5日です
北山さんは？」
これ以上逃げられないでしょ？
仕事始めくらい教えてくれたって、何の支障もないと思うんだけど。
さすがに諦めたのか、
「俺も5日」
ぼそっとそう教えてくれてから、ぷいっと席を立った。
…あれ？
気分を害して、元の席に戻っちゃった？
そう思ってたのに、彼は新しいビールを数本抱えて、また隣に戻ってきた。
「北山さん、何本目ですか？」
「んー…、覚えてない」
とか言いながら、ふにゃりと笑う彼を見て、もういろいろ我慢が出来なくなった。
さっきから無防備に開けてる、シャツから覗く胸元がほんのり赤く色づいていて、
もう気が変になりそう。
これ以上近寄られたら私は、その熱そうな肌に手を伸ばしてしまうかもしれない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1687人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
18rf(プロフ) - わかめさん» わあ！返信有難うございます！！なるほど、そうだったんですね！！主人公ちゃんの気持ちすごいわかるなあ、北山さんに触れたい！！って毎回なってます笑これからの展開たのしみにしてますね！！ (2019年7月30日 0時) (
レス) id: 6b95d259ee (このIDを非表示/違反報告)
ふう(プロフ) - わかめさん» 返信ありがとうございます！沢山連載あるのに更新ありがとうございますTT (2019年7月22日 23時) (レス) id: 24794ead76 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ふうさん» コメントありがとうございますm(__)mそんなこと言っていただいてうれしいです(/ω＼)今夜も更新しようと頑張ってますが、もう既に眠いのでくじけるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いしますm(__)m (2019年7月21日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - アップルさん» そんなことと言っていただいて、ありがとうございます！ご褒美だとか、本当にもったいないくらいです。夜桜と北山くん、かなり素敵だと思われます！どうぞこれからもよろしくお願いしますm(__)m (2019年7月21日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 18rfさん» はじめまして、コメントありがとうございます。毎回気になるところで終わりますよねwでもこれ、実は自分のためなんです。次を書きたくなるようなところで終わらせておかないと、次に書く気がなくなっちゃうので(/ω＼) (2019年7月21日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わかめ
| 作成日時：2019年6月25日 22時
