31 ページ31
今この部屋には、穏やかな優しい空気が流れてる。
それは全部、横尾さんがもたらしているものだ。
私が１人で住んでる時は、この家は薄暗くて古臭くて、なんだか物寂しい感じの家だったのに。
横尾さんが住み始めてから、少しずつこの部屋に暖かい色がついてきたって感じなんだ。
今夜なんか特に。
「今日、久しぶりに惇菜の現場に行ってみて気付いた。
俺、人に指示されたり、命令されて仕事するのが好きじゃないってこと。
…今更だけど。」
なんとなく、それはわかるかも。
横尾さんは人に指示されて動くよりも先に、自分で気が付いて動いてるような人だから。
「惇菜にまた来て欲しいって頼まれたけど、きちんと断ってきた。
俺は自分のペースで仕事をしたいから。」
「惇菜さん、がっかりしてたでしょ？」
「してた。
だけど、応援してくれるってさ。」
ほんとかなあ？
惇菜さんが、そんなに簡単に諦めるとも思えないんだけど。
「惇菜さんって、高校の同級生なんですよね？」
ここは今一度、確認しとく。
実は元カノとか言われちゃったら、これからの惇菜さんとの付き合い方に迷いが出るから。
「そう。
おとなしいってか、暗い子で。
途中からほとんど学校には来なくなった。」
「登校拒否みたいな？」
「まあ、そんな感じ。
卒業もしてないんじゃないかな。」
そんな２人が、今どうしてこんな風に付き合いがあるんだろう。
なかなか不思議じゃない？
「高校の時はほとんど話したこともなくて。
高校を卒業して、アシスタントしてた頃に、カットモデルをスカウトして来なくちゃいけなくて。
みんな器用に見つけてくるんだけど、俺はそういうのがどうも苦手だったから。
で、街をブラついてた惇菜を見つけて、強引にカットモデルになってもらった。」
「いきなりですか？
話したこともなかったのに？」
「そう。
あいつ、当時は腰まであるくらいのロングヘアでさ。
それも惇菜の印象を暗くさせてたんだと思う。」
「それで？」
「まあ、カットモデルになってもらって、イメージをかえてあげて。
店のサイトとかに惇菜の画像を上げてたら、スカウトされた、的な？」
なるほど。
そういう経緯で、モデルデビューしたんだ。
「でも惇菜も今、大変みたい。
もう３１だからね、あいつも。
今やってる雑誌も、今年いっぱいで卒業ってことになるらしい。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1498人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わかめ(プロフ) - くーさん» ありがとうございます(*^-^*)私も本当に横尾さんのヒモ状態が思い浮かばず、ガチで悩みました。一、二を争うとか…、ありがとうございます。またボチボチRAIBOWも書いて行きますので、どうぞよろしくお願いします(*^-^*) (2018年1月21日 19時) (
レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ★mmiioo★さん» ありがとうございます！これですべて完結しました♪こういう関係のお話を書きたいなー、とかずっと思ってまして、夢が叶ってよかったです(*^-^*) (2018年1月21日 19時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - にかはるかさん» コメントありがとうございました！だいぶお返事が遅くなってしまい…、大変申し訳ございません(/ω＼)私もこの甘系の横尾さんを書くのが楽しみでした。またRAINBOWもありますので、読んでいただけたらうれしいですー(*'ω'*) (2018年1月21日 19時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
くー(プロフ) - 完結お疲れさまでした!!最初ヒモ男子な横尾さんが想像出来なかったのですが、上手くまとめましたね。今までのヒモ男子のお話の中でも一、二を争う好きなお話でした。続きが気になるのでまた思い付いたらヨロシクお願いします。 (2018年1月8日 18時) (レス) id: 186d620cf9 (このIDを非表示/違反報告)
★mmiioo★(プロフ) - 完結おめでとう。この２人の雰囲気、すきです。兄妹のような、家族のようなあったかい愛情が感じます。 (2018年1月8日 15時) (レス) id: 84a8c23914 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わかめ
| 作成日時：2017年7月20日 23時
