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「もう寝る?」とか聞いてきた割には、裕太は全然動こうとしない。

2人して無言で壁にもたれかかったまま、つけっぱなしのテレビが煩く響いているだけ。

こういう時、1号は早かった。

私が悩む暇なんて与えないくらいにすぐに行動してたし、こんな間が2人の間に流れたことはない。

私は1号と2号、どっちに傍にいてほしいんだろうか。

そんなことを考えていた時、不意に裕太が口を開いた。

「ちょっとだけ聞いてくれる?」

静かなトーンで話し始めた彼は、チラリとこちらに視線を送っては、目を伏せてしまう。

「もしかしたら気付いてるかもしれないけど
最近…、たまに1号が出てきてる」

…やっぱりそうだったんだ。

さっき、お風呂に入る前に腕を掴まれた時も、あれは完全に1号のしそうな行動だった。

「そうだと思ってた」








「なんか2号らしくないなっていう行動が、今まで何回かあったから
さっき腕を掴んできたのも、1号じゃない?」

「うん、なんか…、頻度が増えてきたもしれない」

「1号が出てくる頻度?」

「そう
なんかね…、ちょっとだけ、それが怖いかな」

そんな深刻な言葉を口にしながらも、2号はふわふわと微笑んでみせる。

言葉と表情が全然合ってないんだって。







「俺って、そのうち消えちゃうのかなあって、思ったり」

その言葉を聞いた辺りから、どんどん私の中で切なさと愛おしさとかいろんな感情が溢れ出てきて胸がいっぱいになる。

「本当のことを言うと、このまま1号に呑み込まれてしまうんじゃないかっていう怖さもあるけど、それに負けたくないっていう気持ちもある
いい場面になると1号が出てきて勝手に行動に移しちゃうんだけど、でもそれは本当は俺がしたかったことだったりするし
…ちょっと1号に嫉妬したりもする」

2号ははにかんだように微笑むと、また視線を床に落としてしまった。

「でも、はっきりさせなきゃね
この体の持ち主が、1号なのか2号なのか」

床に置いていた私の手のひらを、2号はやんわりと包む。

大丈夫、この握り方は2号だ。

私にはすぐわかる。

1号はこういう時、少し焦れたように強引に手を握ってくるから。

「はっきりさせないと、Aには触れない
だから、それまで待ってて」

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りたわかめ(プロフ) - くるりさん» まだ読んでいただいてたらありがたいです。地味に更新しました(/ω\) (2021年6月15日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
くるり(プロフ) - キュンキュンしたり切なくなったりしながら読ませていただいてます!これからの展開がとても楽しみです。更新大変だと思いますが無理せず頑張ってください!応援してます! (2020年8月19日 9時) (レス) id: e6324db40e (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - ゆりかさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます!実は本当はもっと悲しい設定にする予定だったんですが、書いてるうちにこんな感じに仕上がってしまいましたwこれからもどうぞよろしくお願いします<(_ _)> (2020年3月17日 2時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりか(プロフ) - いつもいつも楽しく読ませて頂いてます!前の記憶を覚えていないもどかしさであったり、悲しいところもあったり、キュンキュンしたり、本当に大好きなお話です!本当に面白いです!次回の更新も楽しみにしています(^^) (2020年3月9日 5時) (レス) id: 6a4601e7a5 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - みなさん» お返事遅くなりまして、申し訳ございませんでした!記憶喪失になっても、本能で好きになってしまう的な話が書きたくて(/ω\*) (2020年1月13日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2019年10月27日 16時

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