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夜遅く、疲れた顔で帰ってきた先生は、それでも私の顔を見ると、

「大丈夫だって。
安心しろ。」

って、微笑んでみせた。

「言ってないよね?私達のこと。」

「言うわけないじゃん。
学校側も疑ってはない。
ただ、俺らの距離が近過ぎたのかも、みたいな話にはなった。」

確かに、異性の生徒と教え子が進路指導室という個室で2人きりで勉強してたり、

オープンスクールやセンター試験の送迎とか、普通じゃありえないかもしれない。

「あと、このメールの差出人のことだけど。
フリーメールからだし、ハッキリとはわからないみたい。」

「でも、菜乃花さんでしょ?」

「…多分ね。
学校側もそのことは知ってるから、今後俺らは行動を共にしないようにっていうお達しが出た。」

ということは…、しばらく私達は離れなくちゃいけないってこと?

私は家に帰されちゃうのかな。









「だから…、前にも言った通り、Aはもうこの部屋から出ないでくれる?」

「帰らなくていいの?私。」

「いい。
きっと菜乃花はこれからも諦めないだろうし。
Aが卒業してしばらく経つまでは、おとなしくしとかないとね。」

先生はまるでこの会話は終了、みたいに頭をポンポンすると、バスルームへ消えてしまった。









その夜、私は全然眠くならなかった。

隣で寝てる先生だって同じはずだよ?

さっきからいつもの寝息が聞こえてこないから。

「先生?」

暗闇の中で声をかけたけど、返事はない。

…本当は起きてるくせに。

だからわざとベッドから抜け出そうとしたら、ぎゅっと手首を掴まれてしまった。

「どこ行くの?」

珍しく険しい声で。

…引っかかった♪

だって私が逃げ出すとか思ってたんじゃない?

本当は私も少しは思ってるんだ。

このまま一緒にいるのは危険なんじゃないのかな、ってことは。









「早く寝ろよ。
心配しなくていいから。」

先生は早口でそんなことを言うけど。

知ってるからね?

先生は焦ってる時や、心にもないことを言う時に限って、早口になる。

もしかして私達は、予想以上にヤバい状況なのかもしれない。

急に恐ろしくなって、先生に深く抱きつけば、

「大丈夫だから。
お前は受験のことだけ考えてろ。」

って、また早口でそう言った。

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わかめ(プロフ) - コメントありがとうございました!返信が二か月も遅くなりまして、大変申し訳ないですー(*'ω'*)これからはコンスタントにそこそこ更新できそうです。どうぞよろしくお願いします(*'ω'*) (2018年3月8日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - わかめさん» ずっと更新待ってました!!!今から読みます!!! (2018年1月7日 8時) (レス) id: 1599802159 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆきさん» いつもいつも、更新遅めで申し訳ないです(/ω\)引き続き読んでいただけたらうれしいです(*'ω'*) (2018年1月7日 1時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - わああああ〜〜〜ありがとうございます (2018年1月2日 22時) (レス) id: 1599802159 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆきさん» お待たせいたしました。先程更新いたしました。ご期待に副えるかどうか心配ですがwwwこれからもどうぞよろしくお願いしますm(__)m (2018年1月2日 1時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2017年12月29日 22時

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