101 ページ1
「…なんか、わかるから。
寝てても、Aの気配は。」
もう一度大きなあくびをしてから、先生はウィンカーを右に倒した。
アウトレットの入口が見えて、先生は慣れた様子で駐車場に入っていく。
「来たことあるの？ここ。」
「あるよ。」
「買い物に？」
「…まあね。」
…絶対、買い物じゃないよ。
デートだって。
先生の口調とか、その手慣れた様子を見てればわかるもん。
ここで「デートのくせに！」って責め立てることは簡単だけど、大人な私は気付かないふりをしてあげる。
正直…、先生とこうやって出かけることが嬉しくて仕方ないから。
こんな幼稚なヤキモチで、このデートを台無しにしたくないんだ。
アウトレットの奥にあるカフェが、今日の朝食兼ランチの場所。
やっぱり先生はここにも来慣れてる様子で、奥の窓際の席につく。
今までの彼女とデートに来た場所に、新しい彼女を連れて行く人の気持ちって、どんな感じなんだろう。
来慣れた場所だからエスコートしやすいとか？
それとも、面倒だから前の彼女と行き慣れた場所を選んだとか？
メニューだってほら、じっくり見もしないで簡単に決めちゃってるし。
この店で頼むのはいつもこれ、って決まってる感じ。
メニューを選ぶのに時間のかかる私に、
「これにすれば？」
とかって薦めてくるあたり、自白してるのと一緒じゃん。
せっかく、黙っててあげようと思ってたのに、
「行きつけ？この店。」
なんて、つい不貞腐れて聞いてしまった。
「昔よく来てたから。」
「デートで？」
私のその言葉で、賢い先生は全てを悟ったのか、
「なるほどね。
それでさっきから、むくれてるわけ？」
なんて、鼻で笑ってくる。
「むくれてないし。」
「むくれてんじゃん。」
勝手に私の分もオーダーすると、すぐに先生は煙草に火をつける。
「この店、アウトレットの中で唯一煙草が吸える店だから。
だからよく来てただけ。」
「彼女と？」
「彼女と来たこともあるし、１人の時もあるし。」
最近の先生は正直だね。
こういう時、誤魔化したりなんかしない。
先生と生徒の関係だった時には、いつも曖昧にされてたけど。
付き合い始めてからは、ちゃんと正直に答えてくれるようになった。
…でもあんまり正直なのもなんか、内心複雑なんですけど。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1172人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わかめ(プロフ) - コメントありがとうございました！返信が二か月も遅くなりまして、大変申し訳ないですー(*'ω'*)これからはコンスタントにそこそこ更新できそうです。どうぞよろしくお願いします(*'ω'*) (2018年3月8日 22時) (
レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - わかめさん» ずっと更新待ってました!!!今から読みます!!! (2018年1月7日 8時) (レス) id: 1599802159 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆきさん» いつもいつも、更新遅めで申し訳ないです(/ω＼)引き続き読んでいただけたらうれしいです(*'ω'*) (2018年1月7日 1時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - わああああ〜〜〜ありがとうございます (2018年1月2日 22時) (レス) id: 1599802159 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆきさん» お待たせいたしました。先程更新いたしました。ご期待に副えるかどうか心配ですがwwwこれからもどうぞよろしくお願いしますm(__)m (2018年1月2日 1時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わかめ
| 作成日時：2017年12月29日 22時
