GATE １８ →

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それからの先生は、まるで鬼のようだった。

深夜２時までノンストップで勉強させた挙句、

「ちょっとシャワー浴びてきていい？」

って、スーツのネクタイを緩めて、私の承諾も聞かずに勝手にバスルームに入ってしまう。

しかも私には大量の課題を残して。

しばらくしたらシャワーの音が聞こえて来て、その水音が余計に私の眠気を誘う。

もう眠いよー。

ほんとにスパルタ合宿じゃん！

ああ、この後ろにあるベッドに背中からダイブできたら、５秒くらいで眠れちゃいそうなのに。








水音が消えてしばらくして、先生が濡れた髪のまま、部屋に戻ってきた。

「もう眠い。」

そう訴えてみても見事にスルーされて、

「あんま進んでねーじゃん。」

問題集を覗き込みながら、不満げな口調。

「眠いから集中力続かないんだって。」

「とりあえず、今日の課題が終わらないと寝かさないから。
気合い入れてやれよ？」

そう言い残して先生は、再びバスルームに戻っていく。

そのドライヤーの音ですら、私には子守歌に聞こえるんですけど。

…正直、先生の出した課題はまだ７ページも残ってる。

しかも苦手な問題ばっか。







バスルームから出た先生は、

「ちょっと出かけてくる。」

って、部屋から出て行ってしまった。

ほんと自由だな。

どうせ煙草を吸いに行ったんだろうけど、私なんかこの部屋に来てから休憩すら取ってないのに。

しばらくしてした帰ってきた先生は、コンビニの袋を両手に提げていた。

「夜食買ってきた。」

菓子パンや缶コーヒーを差し出しては、

「片手で食いながら出来んだろ。」

って、無茶苦茶なことを言ってくる。

「…鬼。」

ぼそっと呟けば、先生はまた隣の席に密着するように座り直してくる。

「デザートも買って来てるから。
食いたかったら、早く終わらせれば？」

「それって、アメとムチ？」

「さあね。
…てか、ここ計算式ひとつ抜けてる。」

よく見てるよね。

それくらい私のことも見てくれればいいのに。

今何を考えてるかとか、私のしてほしいこととか、全部。

じーっと先生の横顔を眺めてたら、至近距離で先生と目が合った。

「俺ばっか見てないで、問題見ろ。」

手のひらが頭に近付いて来て、コツンといつもみたいに小突かれちゃうのかと思って目を閉じた。

だけど頭に降りてきたのは大きな手のひらで。

その手のひらは私の頭を、まるで大切なものでも触るかのように、そっと撫でた。

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