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「どうしたらいいんだろうなーって、ずっと考えてた。」
先生は私の背中をポンポンとバラバラなリズムで叩きながら、独り言みたいに話し始める。
「全然言うこときかないし、心配ばっかかける生徒をどう扱ったらいいのか。
やれって言ったことはちゃんとやってくるけど、するなってことまでしてくる。
愛情不足なんだろうなってことはわかってる。
Aのことが大人に見えてたのはきっと、小さい頃から我慢することに慣れて、無感情になってるからじゃないかな、ってことも。」
まるでカウンセリングでも受けてるみたい。
先生から見た私って、そんな感じなのかな。
別に我慢もしてないし、無感情なつもりなんてさらさらないんだけど。
人からはそう見えてるのかもしれないな。
「さっき、可愛いの種類を答えろって聞かれたけど。
…自分でも、よくわからない。
でも、Aに対しての可愛いって気持ちは、純粋に生徒を可愛いと思う限度を超えてるような気がする。」
「それって、私のこと好きってこと?」
からかってやろうと思って言ったんだよ。
なのに先生はいとも簡単に、
「…そうかもね。」
って、あっさり肯定してきた。
「じゃないと、生徒にキスなんかしないんじゃない?」
「だから、試してみたくなった。
Aからキスされそうになった時、Aにキスしたらどんな気持ちになるのかなって。」
先生はそう言ったきり、しばらく黙り込むから、
その先が気になって顔を上げたら、思いっきり視線がぶつかった。
そしてもう一度、先生の唇が重なってくる。
それは、さっきみたいな大人なキスじゃなくて、本当に唇が触れてるだけの、それでいて長いキス。
「…もう、俺の傍に置いとくわ。
Aのこと。」
唇が離れてすぐに、先生はそう言って、見たこともないような甘い笑顔を見せた。
「それって、どういう意味?」
「傍にずっと置いといて、監視する。
いけないことをしそうになったら叱るし、頑張ってたら誉める。」
「それって、今までと一緒じゃん。」
「そうじゃなくて、個人的にAを傍に置いとくってこと。
わかんない?」
「…わかんないよ。」
大人の言うことは、いつも遠回しで曖昧で、いつも煙に巻かれてるような気分になる。
そうやって誤魔化して、逃げ道を作っとくようなことをするから、大人は。
先生はいつもと変わらない涼しい顔をして、こう言った。
「Aと、ちゃんと付き合うって決めたってこと。」
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わかめ(プロフ) - ゆうめろさん» ありがとうございます(/ω\)ようやく戻って来れましたー。来年の春から受験生ですか!頑張ってくださいね!!私も先生の鬼合宿で卒論を仕上げたかったです…www (2017年12月30日 0時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうめろ(プロフ) - わかめさん!おかえりなさい!ツイッターで卒論提出したと拝見したのでもう少しかなとニヤニヤしながら期待してました笑来年の春からは私も受験生になるので先生との鬼合宿行きたいです笑笑これからも応援しています!更新頑張ってください! (2017年12月26日 20時) (レス) id: 9233dbcd5e (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 玲さん» ありがとうございます(T△T)実は卒論にかかりきりで、ようやく提出できたので、恐る恐る戻って参りました。また他の話もぼちぼち更新しますので、またよろしくお願いします♪♪ (2017年12月23日 23時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - しばらくお休みされていたので心配でした。更新待ってました!嬉しいです!他の作品も更新されていくのでしょうか。ショートケーキとフランボワーズが特に大好きなので楽しみにしています。 (2017年12月23日 23時) (レス) id: b7c4bcac2b (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 環季さん» 胸キュンとか、ありがとうございます(/ω\)書いてる方も現実逃避しながら書いてますwww (2017年8月4日 23時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめ | 作成日時:2017年7月2日 2時